ドル高一服 ドル円は154円台 次のヒントを探る展開=NY為替概況

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ドル高一服 ドル円は154円台 次のヒントを探る展開=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は海外時間に入って買い戻しが優勢となり155円より上のゾーンを試す展開が見られたものの、結局、154.65円付近に押し戻されている。米国債利回りが下げに転じたこともドル円を圧迫した。

 本日は植田日銀総裁が講演を行い注目されていたが、今後の金利見通しについて明確な指針を示さなかった。タカ派なメッセージを期待していた投資家も多くいたことから、円相場は円安の反応が見られていた。総裁は明確なヒントを避け、経済と物価の動向によると述べたていたが、12月利上げに強気な見方も一部からは出ている。いずれにしろ、足元のデータからは12月か1月には追加利上げを実施すると見られているようだ。

 市場はドル高自体は一服させており、次のヒントを探っている。先週のパウエルFRB議長の「利下げは急がない」との発言から12月のFOMCでの利下げについては五分五分と見られている。今週は米住宅指標以外は重要なデータも少なく手掛かり材料に乏しい。

 本日のユーロドルは買い戻しが優勢となり、一時1.06ドル台に上昇する場面も見られた。しかし、上値が重い雰囲気に変化はない。ユーロ圏の先行き不透明感から、ユーロドルは1.01ドルまで下落するとの見方が出ている。トランプ氏が提案する貿易関税がユーロ圏経済に大きな影響を与え、ユーロドルは最近の下落をさらに拡大する可能性があるという。

 労働市場のひっ迫以外、ユーロ圏の成長の原動力が限られていることを踏まえると、ファンダメンタルズの観点からもユーロに対して楽観的にはなれないと述べている。欧州全体で経済政策への不透明感が高まっており、市場ではユーロ圏と米国の金融政策のさらなるかい離が織り込まれる可能性もあり、ECBはFRBよりも大幅な利下げを行うことが予想され、ユーロドルは2025年第2四半期には現在の1.05ドル台から1.01ドルまで下落すると見ているようだ。

 ポンドドルは買い戻しが出ており、一時1.2685ドル付近まで買い戻された。欧州はトランプ関税の影響を警戒しているが、英国はトランプ関税計画の影響を受けにくいことから、ポンドが上昇する可能性があるとの見方が一部から出ている。

 ポンドはここ数週間下落しているが、トランプ氏の貿易関税計画の焦点が英国になる可能性は低く、来年には再び上昇する可能性があると指摘している。また、英国がサービスセクターに依存していることも関税に対するある程度の保護となるという。また、英労働党政権下では、ブレグジットの方向性はより穏健なものになると予想されるとも述べた。

 米大統領選後のドル高は、短期的にポンドドルの値上がりを抑制する可能性もあるが、ユーロ圏の政治および財政の不安定さの中で、2025年には対ユーロではポンドが上昇する見通しだという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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