明日の株式相場に向けて=データセンター関連が電撃上昇
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週明け18日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比422円安の3万8220円と大幅反落。全体相場は前週を引き継いでリスク回避モードにある。決算プレーによる鉄火場と化した地合いからは脱したが、騰落レシオに示されるように投資家の参戦意欲は見た目よりも低調で、これは全体売買代金の少なさにも反映されている。こうなると逆に売り方の仕掛けも空回りしやすく、きょうのマーケットの値動きはそれを示唆した。 朝方取引開始早々に日経平均は500円近い下げで3万8000円大台攻防を意識させた。こういったケースでは、通常は先物主導による売り崩しの動きが個別株の狼狽売りを誘発し、そのまま3万8000円台を割り込むような波乱要素の強い局面に誘導されるパターンが多い。しかし、きょうは実需の売りが追随しなかった。しぶしぶ売り方が買い戻して、結果的に午前9時4分につけた3万8150円がこの日の安値となった。 米国ではパウエルFRB議長が前週の講演で利下げを急ぐ必要はないとの見解を示し、前週末の米国株市場では、12月に3会合連続の利下げを見込んでいた投資家に動揺を与え、一部ハイテク株などの投げ売りを誘った。一方、国内に目を向けると日銀が12月の金融政策決定会合で追加利上げに動く可能性がくすぶり続けていることで、外国為替市場では急速なドル安・円高方向への揺り戻しが起こった。そうしたなか、きょうは植田日銀総裁が名古屋市の金融経済懇談会で発言機会があり、おのずとマーケットの耳目を集めたが、12月の利下げを匂わすような発言は聞かれず、これによってドルが買い戻され、つれて日経平均も3万8100円台で踵(きびす)を返す形となった。 今週は週央20日に米エヌビディア<NVDA>の決算発表を控える。例によって事前コンセンサスのハードルが高く、好決算でも株価がどう反応するか分からない部分がある。足もとの売上高や一株利益の高水準の伸びは疑いのないところだが、それよりも市場では同社が製造する次世代半導体「ブラックウェル」の需要動向に関心が高い。ブラックウェルについて「常軌を逸しているほど強い」というジェンスン・ファンCEOのコメントは、氏ならではの表現だが、マーケット側の期待も雪だるま式に大きくなっている。今は日米ともに半導体関連全般は笛吹けども踊らずという状態。このエヌビディア決算通過後の方向性がどうなるかは、来年に向けた株式市場全体を占ううえでも重要ファクターとなる。 一方、東京市場では決算プレーが一巡し、テーマ買いの動きが局地的ながら再燃する兆しがある。関連最右翼はデータセンター周辺だ。「ブラックウェル」イコール半導体関連という公式ではなく、最近はそこを起点とする「電力周辺」の方にスポットが当たっている。東京市場ではフジクラ<5803.T>、古河電気工業<5801.T>に続くニュースターの発掘に向けて思惑が錯綜し、今が旬といえるかもしれない。電気・通信工事関連ではコムシスホールディングス<1721.T>が直近高値を上回ってきたが、更に強いチャートを示しているのがエクシオグループ<1951.T>や関電工<1942.T>などで、あわせて目を配りたい。また、システムインテグレーター大手として、データセンター分野でも非常に高い実績を有するSCSK<9719.T>は見逃せない存在だ。このほか今年4月以降、当欄で継続的に取り上げてきた銘柄では精工技研<6834.T>が異色の強さで、依然として上値余地があると思われる。 データセンター関連以外では、トランプ・エフェクトに伴うテーマ物色とはいえ、三菱重工業<7011.T>や日本製鋼所<5631.T>などの“リアル防衛関連”は下値切り上げ波動が当面続きそうである。投資作戦的には“噴いたところは見送る”を基本とし、押し目狙いに徹するのがコツだ。このほか、防衛関連の穴株として是非マークしておきたいのがIMV<7760.T>。航空宇宙・防衛向けに振動装置や電磁波関連のEMC試験で秀でた実力を持つ。 あすのスケジュールでは、1年物国庫短期証券入札が午前中に行われる。また、国内企業の決算発表では東京海上ホールディングス<8766.T>、SOMPOホールディングス<8630.T>、MS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725.T>の大手損保3社(いずれも4~9月期決算)が予定されている。海外では豪中銀理事会の議事要旨(11月開催分)が開示されるほか、10月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値、10月の米住宅着工件数、10月の米建設許可件数などが発表される。海外企業の決算ではウォルマート<WMT>の8~10月決算にマーケットの注目度が高い。(銀) 出所:MINKABU PRESS