ドル円は一時153円台まで急落 ドル高以上に円高圧力が圧迫=NY為替概況

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ドル円は一時153円台まで急落 ドル高以上に円高圧力が圧迫=NY為替概況

 きょうのNY為替市場でドル円は一時153円台まで急落。東京時間の高値156.75円から3円近く下落する場面が見られた。欧州通貨が下落し、クロス円が下落する中、ドル自体は上昇していたものの、それ以上に円高圧力がドル円を圧迫した模様。

 きょうの日本のGDPを受けて12月の日銀の利上げ観測が再び高まっていることも円買いに繋がった可能性もありそうだ。実質賃金は依然マイナスではあるものの、GDPでは個人消費の底堅さが見えていた。毎月勤労統計の基本給にあたる所定内給与も前年比2.6%上昇と、32年ぶりの高い伸びを示し、次の春の春闘でも力強い声が聞こえている。

 ただ、日銀が追加利上げを実施したとしても日米の金利差は大きく、ドル高の流れが当面続くようであれば、ドル円の下値も限られる。また、トランプ次期大統領がドル高を許容するかの問題もありそうだ。

 前日のパウエルFRB議長の講演を受けて、市場は利下げ期待を後退させてい一部からは、FRBは年内で一旦利下げを停止し、来年は様子を見るとの見方も出ているようだ、ただ、本日のFOMC委員からの発言は利下げ継続を容認している印象もあった。グールズビー・シカゴ連銀総裁とコリンズ・ボストン連銀総裁の発言が伝わっていたが、シカゴ連銀総裁は、利下げを急がないパウエル議長の見解に同意したうえで、インフレが2%目標に向けて減速を続ける限り、金利は向こう1年-1年半で大幅に低下するとの見方も示していた。一方、ボストン連銀総裁は「新たに物価上昇の圧力が高まった証拠はなく、12月利下げの選択肢が消えたわけではない」と述べていた。いずれにしろ、以前ほど利下げに意識を傾けておらず、データ次第の中立スタンスではあるようだ。

 ユーロドルは1.05ドル台前半に下落。前日は瞬間的ではあるが1.05ドルを割り込んだものの、いまのところ1.05ドル台はかろうじて維持。ただ、やはり上値は重い。本日は1.06ドル台を試す動きも見られていたものの、NY時間に入って戻り売りが強まり蓋を被せられている。

 トランプ次期大統領の貿易政策への懸念が低迷していユーロ圏経済にさらなる打撃を与えるのではと警戒している。市場では次回12月のECB理事会で0.50%ポイントの大幅利下げが実施されるとの見方が徐々にではあるが増えているようだ。そのような中でアナリストからは、ユーロドルは年末までに1.04ドルを割り込む場面も想定されるとの指摘も出ている。

 本日のポンドは独歩安の展開を見せ、対ドルのみならず、対ユーロ、円でも下落。ポンド円は194円台半ばまで下落し、21日線を下放れる展開が見られた。この日発表の英GDPが予想を下回ったことがポンドを圧迫しているようだ。第3四半期のGDP速報値は前期比で僅か0.1%増に留まり、英経済は夏に失速したことが示された。9月の月次GDPも前月比で予想外のマイナス成長となっていた。

 エコノミストからは、新政権による財政刺激策は景気を多少押し上げる可能性はあるが、税制措置が逆効果となり、民間投資や雇用に打撃を与える可能性があるとの指摘が出ている。採用計画も凍結の可能性が高く、実際に英労働市場にはすでにひび割れが表れ始めているという。貿易戦争やその他の地政学上のリスクも迫っているとも述べている。

 ただ、別のエコノミストからは、英中銀は成長よりもサービスインフレに傾注しており、これは鈍化こそしているもののなお高水準で推移している。来週は10月の英消費者物価指数(CPI)が発表になるが、サービスインフレは前年比4.8%が見込まれている状況。そのため英中銀は12月の利下げを一旦停止する可能性が高いという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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