ドル円が155円台に上昇 ただ、米CPIで12月利下げ期待は再点灯=NY為替概況

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ドル円が155円台に上昇 ただ、米CPIで12月利下げ期待は再点灯=NY為替概況

 きょうもNY為替市場はドル買いが続いた。この日の米消費者物価指数(CPI)が概ね予想通りの内容となったことで、市場では12月FOMCでの利下げ期待が再点灯している。米CPI発表直後は為替市場もドル売りの反応を見せ、ドル円も154円台半ばに一時下落。

 翌日物金利スワップ(OIS)市場では、12月利下げの確率を前日は五分五分で見ていたが、CPIを受けて70%程度まで上昇。一方、CMEのフェドウォッチでは前日の58%から80%に上昇した。しかし、FRBは以前ほど利下げに意識が傾いておらず、どちらにもオープンな中立スタンスを示唆している。指標次第では直ぐに戻る可能性は留意される。

 ただ、トランプトレードによるドル高は根強い。ドル円は動きが一巡すると直ぐに切り返し、逆に上値追いを加速させ、一時155.60円付近まで上昇。7月以来の高値水準に上昇した。

 ドル円は155-160円ゾーンへのレベルシフトを試す展開となる中、一部からは「すぐにも日本の財務省が口先介入に動き始め、市場を神経質にさせても驚きではない」との声も出ている。ただし、ユーロ円やポンド円はドル円ほどの上昇は見せておらず、円独歩安といった雰囲気まではない。

 ユーロドルは1.05ドル台半ばまで下値を切り下げ、年初来安値を更新。トランプ次期大統領が目指す政策によるインフレ再燃とユーロ圏経済への懸念が根強い中、ユーロドルは依然として下げ止まりの気配を見せない。さすがに過熱感も出始めおり、過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは下げ過ぎの基準である30に到達している状況。

 米大手銀が11月に実施したファンドマネジャー調査によると、ユーロを過小評価していると考える投資家の割合が増加している。ユーロが過小評価されていると答えた投資家の割合は8%で10月よりも6ポイント上昇したという。

 ポンドドルは一時1.26ドル台まで下値を切り下げた。前日に割り込んだ200日線を、本日は下放れる展開を見せ、更に下値を試しそうな気配も出ている。目先は8月安値が1.2665ドル付近、さらにその下は6月安値が1.26ドル台前半にあり、目先の下値メドとして意識される。

 アナリストは、市場の利下げに慎重な見方が再評価された場合、ポンドは脆弱だと指摘している。市場は12月の英中銀の利下げの可能性をほとんど、あるいは全く織り込んでおらず、2025年9月までに計0.50%ポイントの利下げしか織り込んでいない状況。そのために、市場がさらなる利下げを織り込む方向にリスクが偏っているという。

 しかし、英政府の最近の予算案のインフレへの影響を市場が慎重に評価するため、それには時間がかかる可能性があるとも付け加えた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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