ドル円は153円台で底堅さを維持 ドル売り優勢も円安が下支え=NY為替概況
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ドル円は153円台で底堅さを維持 ドル売り優勢も円安が下支え=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル買いが一服する中、ドル円は153円台で底堅さを維持した。この日発表のADP雇用統計が予想以上に強い内容だったことから買いの反応が見られたものの、154円台を試に行く動きまでは見られていない。一方で下押しする動きも見られず、200日線の上でのリバウンド相場をしっかりと維持している状況。 本日のNY為替市場はドル売りが優勢となったものの円安の動きもあり、ドル円は下支えされている。明日の日銀決定会合への警戒感もドル円の下値をサポートしていたようだ。今回は据え置きが確実視される中、植田総裁がどのようなガイダンスを示唆してくるかに注目が集まっている。衆院選の結果を受けて政局が流動的となっており、利上げに対して慎重なアプローチを滲ませるのではとの見方が市場では優勢となっている。その場合の円の一段安のリスクにも備えているようだ。 今回の会合では、米大統領選の行方とFRBの政策動向を巡る米国の動向も日銀を慎重にさせるものと見られている。植田総裁は先週のG20財務相・中央銀行総裁会議の際の会見で、米経済の動向も注視している姿勢に言及していた。 次の利上げ時期を巡ってエコノミストの間では、当初の12月から来年1月に予想がシフトしているようだ。米大統領選でどちらが勝利したとしても就任は来年1月以降。米経済の動向を見極めるのであれば、1月利上げもどうかとは思われる一方、日本ではここから年末にかけて、首班指名や予算編成などがある。これらのスケジュール感から、少なくとも現時点で日銀が12月利上げを示唆することはないと見られているようだ。 今回は展望レポートも公表されるが、24年度のGDP見通しを4月時点の前年度比0.8%増から小幅に下方修正すると見られている。一方、物価の基調に関する見通しは維持する公算が大きく、緩やかな回復という見通しは維持すると見られる。 ユーロドルは一時1.0870ドル付近まで買い戻され、200日線に顔合わせしている。来週の米大統領選やFOMCに向けたドルのポジション調整も一段落してきたようで、本日のドルは調整売りが出ていたことから、ユーロドルは買い戻されている。 きょうはいくつか重要なユーロ圏の経済指標が発表になっていたが、ECB利下げを難しくする内容となっていた。第3四半期のユーロ圏のGDP速報値は前期比プラス0.4%と予想を上回り、調査で示唆されているほど悪化していないことを示唆した。一方、10月のドイツ消費者物価指数(HICP)速報値も発表され、前年比2.4%とこちらも予想を上回っていた。市場では次回のECB理事会での利下げは0.50%ポイントの大幅利下げではなく、通常の0.25%ポイントの利下げになるとの見方に傾いている。 ポンドドルは上下動。NY時間の序盤には1.2935ドル付近まで下落していたが、一時1.30ドル台を回復する場面も見られた。この日は注目されていた英秋季予算案がリーブス英財務相から発表された。 同財務相は国民保険料の引き上げなどで400億ポンド規模の増税を発表。公共サービスへの支出を増やし、前保守党政権が残した財政赤字の穴埋めに充当するという。キャピタルゲイン課税の最高税率を24%に引き上げるほか、ファンドの運営者が得る成功報酬の一種であるキャリードインタレストのキャピタルゲイン課税も4月に32%に引き上げる。1月からの私立学校授業料への付加価値税導入なども発表。来年の燃料税は凍結した。 一方、同財務相は新たな財政ルールを発表。投資資金調達のための公的借り入れ枠の拡大を認めるもので、債務拡大にさらに拍車をかけることになる。これを受けて英国債利回りが上昇し、ポンドをサポートしている。短期金融市場では英中銀による年内利下げ観測が後退しており、11月に0.25%ポイントの利下げを実施した後は、12月は据え置きの見通しが追加利下げを上回っている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美