ドル円は一時153円台後半まで上昇 米国の動向に注目が移る=NY為替概況

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ドル円は一時153円台後半まで上昇 米国の動向に注目が移る=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は東京時間に一旦152円台に伸び悩んでいたものの153円台に上昇。一時153円台後半まで上昇する場面が見られた。ドル円相場は衆院選後の材料を消化し、米国の動向に注目が移っている。来週の米大統領選を巡ってドル円はさらにリバウンド相場を加速させるとの見方も出ており、今度はドル高がドル円を押し上げると見ているようだ。

 目先は155円を試しに行くかどうかが注目となっている。そこを完全突破すれば、160円が再び視野に入るとの指摘も少なくない。米大統領選については世論調査では接戦となっているものの、市場はトランプ氏勝利を織り込む動きを活発化させている。共和党が議会も席巻する、いわゆるスウィープの状況になれば、さらのドル買いに拍車がかかるとの見方も根強い。

 トランプ氏は減税と高関税を経済政策に掲げているためだが、但し、インフレへ再燃への懸念があるほか、共和党は民主党よりも財政拡大に消極的な政党である点は留意して置く必要があるのかもしれない。

 また、今週は重要な米経済指標が目白押しで、明日は第3四半期の米GDP速報値、明後日はPCEデフレータ、そして、金曜日には米雇用統計が発表される。米GDPは強い内容が予想されており、FRBの緩やかな利下げ観測を裏付けそうだ。PCEデフレータはインフレの落ち着きを示す予想となっている。

 一方、米雇用統計だが、非農業部門雇用者数(NFP)は11万人増と2020年以来のだいぶ低い数字が見込まれている。ただし、今回はハリケーンの特殊事情が影響すると見られていることから、正確な基調判断には不向きな数字との意見も多いようだ。

 ユーロドルは一時1.07ドル台に再び下落していたが、終盤に1.08ドル台に戻している。このところ下げを一服させているものの、上値は依然として重い印象。根強いドル高期待はもちろんのこと、ユーロ自体も上値が重く、対ポンドでもユーロは下落。エコノミストからは、ユーロ圏の厳しい経済情勢を考えると、ユーロは引き続き下落のリスクがあるとの指摘が出ている。フォルクスワーゲンの工場閉鎖、賃金カット、人員削減計画はセンチメントを好転させる助けにはならないという。

 フォルクスワーゲンのニュースは、中国の需要減退による自動車メーカーの苦境を浮き彫りにし、ドイツの製造業が競争力を失っているのは明らかだとしている。ドイツの今年のGDPは2年連続のマイナス成長となりそうな中、ECBには利下げの圧力がかかり続けるだろうとも述べた。

 ポンドドルはユーロとは違い緩やかな上昇を見せ、1.30ドル台を回復。ポンドドルは100日線付近で下げ止まりの気配を見せているものの、買い戻そうという展開までは見られていない。ただ、いまのところ1.28ドル付近に来ている200日線を試す動きまでは見られていない状況。

 明日はリーブス英財務相が秋季予算案を公表する予定だが、それが緊縮財政のみならず長期投資にも取り組めば、ポンドは恩恵を受ける可能性があるとの指摘が出ている。それは英国の長期的な潜在成長の強化にも繋がり、ポンドにとってプラスになるはずだと述べている。

 労働党政権にとっての課題は、公共部門における長年の資金不足に終止符を打つために投資を促進することだという。しかし、英国はここ数年、歳入以上の歳出が続いており、それが財政状況を難しくしているとも述べた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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