【緊急インタビュー】与党過半割れでどうなる日本株 アイザワ証券・三井郁男氏 <相場観特集>

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コラム

―衆院選後の「ブラックマンデー」回避も、政治情勢の不安定化で強まる慎重姿勢―

 10月27日投開票の衆院選で自民・公明の与党が議席数の過半数を確保できず、大敗を喫した。石破茂首相は28日の記者会見で続投する意向を表明したが、党内融和や今後の政権運営面で取り組むべき課題は山積している。週明け28日の東京市場では売り方の買い戻しが入りショック安は回避されたものの、政治の安定という株高の前提の一つが失われた事実は重い。この先の相場展望について、マーケット関係者に緊急インタビューを行った。

●「米景気底堅くファンダメンタルズが下支えへ」

三井郁男氏(アイザワ証券 投資顧問部 ファンドマネージャー)

 今回の衆院選では自民党、公明党の与党が過半数を維持できない可能性があると事前に報じられていた。日本株に自公大敗のリスクの織り込みが進んでいたことは事実である。日経平均株価はイベント通過後のショートカバーが入り上昇したが、今後の政権運営や野党との協力関係に関して、具体的な方向性が見えたわけではない。海外投資家が今回の選挙結果にどのように反応するのか、なお警戒感がくすぶっている状況にある。一方で、衆院選の結果とは別に、米国景気が想定よりも強い状況にあるのも確かである。また、米国金利が高止まりし、為替相場がドル高・円安方向に振れたこと自体は、輸出企業の業績面ではポジティブに働くこととなる。

 とはいえ、今後の米国の経済指標や、米大統領選の結果を受けた米国金利の反応については注視が必要である。米国経済の「ソフトランディング」シナリオをベースとした投資環境が変化するような事態が起きた場合は、投資家心理が悪化し、株式相場も下押しを余儀なくされることとなるだろう。加えて、円安が一段と進行した場合は、日銀も追加利上げなどの政策対応に迫られる可能性が高まってくる。しばらくはボラティリティが高まりやすい状態が続きそうだ。今年12月、または来年初めに日銀が追加利上げに踏み切るとの見方が強まれば、日本株の上値を圧迫する要因となるだろう。

 年内の日経平均株価は3万7000円から3万9000円の間で推移しそうだ。ボラティリティの高い相場環境において、株式市場では財務基盤が良好な大型株が選好されることとなるとみている。信越化学工業 <4063> [東証P]の今後のパフォーマンスに期待が膨らむほか、日立製作所 <6501> [東証P]や重工大手、高値から3割切り下がったトヨタ自動車 <7203> [東証P]もマークされそうだ。地銀による業績予想の上方修正も相次いでいる。日銀が利上げの方向性に進み、米金利の高止まりが継続するのなら、メガバンクは調整時には押し目買いを集めやすくなるだろう。DX(デジタルトランスフォーメーション)や防衛に関連した銘柄も引き続き関心を集めることとなるに違いない。

(聞き手・長田善行)

<プロフィール>(みつい・いくお)
1984年からファンドマネージャーとして日本株運用を40年近く続ける。国内銀行投資顧問、英国の投資顧問会社、国内大手信託銀行を経て、投資顧問会社を設立。2013年からアイザワ証券の投資顧問部で日本株ファンドマネージャー。自ら企業調査するボトムアップ運用を続けている。

株探ニュース

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