明日の株式相場に向けて=“初動前夜”の「AI関連株」をロックオン
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3連休明けとなった15日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比304円高の3万9910円と4連騰。海外株高に引っ張られる形で一時フシ目の4万円大台を回復した。取引後半はさすがに息切れ気味となったが、これも一つの学習効果によって想定された流れと捉えることもできる。 振り返れば今年の8月初旬に歴史的暴落に遭遇、この時に日経平均は8月1日が975円安で、2日に2200円安、週を跨いで5日に4451円安と倍々ゲームの急落に見舞われ、3営業日合計で7600円強というにわかに信じられないような下げとなった。この残像が投資家の脳裏に残っているのはいうまでもなく、それまでのような全力で強気相場に乗るというようなムードは霧消した感がある。 しかし、それが逆に良かったという見方もできる。暴落から立ち直り見事な復元力を発揮した日経平均だったが、1カ月後の9月初旬から中旬にかけて再び投げ売りの洗礼に見舞われた。この時は7日続落で合計3000円を超える下落。しかし、8月初旬の暴落と比べれば余震といえるレベルで、狼狽するような状況ではなかった。むしろ投資家は冷静にどこで買い出動するかを推し量っていたようなフシがある。そして9月末の石破ショック。石破新首相は総裁選に勝利しただけで、自らにショックと称されるような非は何もないのだが、株式市場が期待していたシナリオが土壇場でひっくり返されたような状況にあって、これは永田町政治に対する失望感が反映されたとみてよい。この日1日で一時2000円を超える下落をみせたのだが、ここは押し目買い場という判断を示した投資家も多かったのではないか。事実、そこから日経平均はよろめきながらも短期間で立ち上がった。 4万円台を回復してからも、油断はできないと投資家皆が思っている。それが、信用枠を使った買いが膨らまないという学習効果に映し出されている。ひとことで言えば、皆が買い建玉をパンパンに張らせた状態で首尾よく上昇するというパターンは相当レアなケースに属し、元来半分腰が引けた状態だからこそ株価は上昇する。これは日経平均も個別株も同じ理屈で動く。とすれば日経平均は4万円台回復をみて、手を引っ込める投資家も多くなることが予想される。それを読んだ動きが、きょうの後場に観測された手仕舞い売りである。 しかし、個別株は違う。日の目を見ていない銘柄にリターンリバーサルの恩恵が及ぶとするなら、これからである。全体相場の勢いが止まるとテーマ物色の流れに乗って中小型株の一群が動き出す。米国ではエヌビディア<NVDA>に対する見直し機運が高まっている。アナリストの投資判断引き上げ合戦となっているのは、売り場探しのポジショントークという穿った見方はあるものの、エヌビディアの業績がここで頭打ちということはなさそうだ。何よりもブラックウェルに対する爆発的な需要に一番驚いているのは、ほかならぬジェンスン・ファンCEO本人で、その言葉に誇張や虚偽の気配は感じられない。これは、AI用半導体やAIソフトウェア関連など周辺株への資金還流にもつながっていく。 きょうはアドバンテスト<6857.T>を筆頭に半導体製造装置の主力どころが活況高に沸いたが、米株市場の物色の流れを汲むのであれば、AI関連の出遅れにも目が向かうところだ。まだ初動前夜と言ってよく、アンテナを高くして今後に備えたい。休眠状態にあったブレインパッド<3655.T>や言語解析AIで新境地を開拓したFRONTEO<2158.T>がこのまま音無しの構えを続けるとは考えにくい。また、業績好調組では、人間並みの柔軟な言語理解度を有する「AEI」をソリューション基盤とするpluszero<5132.T>、「AI×サブスクモデル」の次世代型レセプトチェックで医療DXを支援するUbicomホールディングス<3937.T>、独自のAI活用コンサルティングを展開し、顧客企業の課題解決にワンストップで対応するRidge-i<5572.T>などが挙げられる。 あすのスケジュールでは、8月の機械受注が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に安達日銀審議委員が香川県の金融経済懇談会で挨拶し、午後取引時間中に記者会見が行われる。また、同じ時間帯に森田日証協会長の会見も予定される。午後取引時間終了後には9月の訪日外国人客数が発表される。なお、この日は東証スタンダード市場に日水コン<261A.T>が新規上場する。海外ではインドネシア中銀、タイ中銀、フィリピン中銀が政策金利を発表。9月の英消費者物価指数(CPI)、9月の米輸出入物価指数なども注目。(銀) 出所:MINKABU PRESS