ドル円、伸び悩む展開も底堅さは堅持=NY為替概況

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ドル円、伸び悩む展開も底堅さは堅持=NY為替概況

 きょうの為替市場はドル買いが一服する中、ドル円も伸び悩む展開となり、NY時間に入って一時147円台に値を落とす場面も見られた。ただ、底堅さは堅持しており、150円台回復を目指す流れは温存されている。

 先週の想定外の強い米雇用統計を受けて、FRBの利下げ期待が後退。短期金融市場では、11月FOMCでの0.50%ポイントの利下げの可能性が完全に排除され、0.25%ポイントについても完全には織り込まれていない状況。ドルの底堅さは堅持されていたようだ。

 先週の上げでドル円は完全にリバウンド相場の流れに復帰しており、心理的節目の150円を回復し、200日線が控える151円まで到達するか注目される。ただ、石破政権は日銀の拙速な利上げには否定的な見解を示唆していたものの、エコノミストの間では12月の追加利上げに対する期待も根強くあり、150円を突破して再び160円を目指す展開までを期待している向きは少くないようだ。

 中東情勢の緊迫化も依然として気掛かりとなっている。原油相場が77ドル台まで上昇したが、先週のイランによるミサイル攻撃に対するイスラエルの対応を世界が待ち構えている状況。リスク回避の雰囲気が広がるようであれば、ドル円も戻り売りに押される可能性も留意される。

 ユーロドルも買い戻しの気配が出ていたものの上値は重く1.09ドル台での推移が続いた。下げを一服させてはいたものの、先週ブレイクした1.10ドルの回復を試そうという気配まではない。ただ、一部からは若干の回復の可能性は期待できるとの声も出ている。ECBとFRBの利下げ期待の調整はひとまず終了しており、今後数日中にユーロドルはやや買い戻される可能性があるという。

 しかし、来週17日のECB理事会を前に金利見通しが大きく動くことも考えにくく、また米経済指標が大幅に軟化しない限り、ドルとユーロの2年物のスワップ金利差は現在の1.25%ポイントから大幅に縮小することはないとしている。ECBは10月の理事会で利下げに踏み切る可能性が高く、市場もそれを望んでいることから、最終的にユーロは下落して行く可能性が高いとも指摘している。

 ポンドドルは一時1.3060ドル付近まで下落していたものの、NY時間に入ると下げ渋る動きを見せた。しかし、積極的に買い戻そうという気配もなく、1.30ドル台後半での推移が続いている状況。心理的節目で9月にサポートされていた1.30ドルを視野に入れた展開は継いている。

 ここにきて市場のポンドに対する信頼感が揺らいでおり、一部の為替ストラテジストからは中期的に10%近く下落するとの見方も出ている。先週、ベイリー英中銀総裁が利下げについて「もう少し積極的」かつ「もう少し活発」になる可能性があると新聞のインタビューで言及していたが、これがポンドの重石となり、先週のポンドは約2%下落し、2023年2月以来の大幅安となった。

 先週の米雇用統計を受けて米利下げ観測が後退したことをもポンドに打撃を与えている。一部からは、今後数カ月でポンドドルは1.20ドルまで下落するとの予想も出ているようだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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