ドル円に再び売り 総裁選に伴う急変は一服も今度は中東情勢が押し下げ=NY為替概況
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ドル円に再び売り 総裁選に伴う急変は一服も今度は中東情勢が押し下げ=NY為替概況 きょうのNY為替市場でドル円は再び売りが強まり、一時142円台に下落する場面も見られた。自民党総裁選に伴う急変は一服していたものの、今度は中東情勢がドル円を押し下げた。 イランがイスラエルに対して弾道ミサイルを発射。米政府はイランから200発のミサイルが発射されたと述べているが、イスラエル軍は、多くは迎撃したが一部は着弾したと発表。死者も何人か出ているようだが、米国はイランによるイスラエル攻撃は効果がないと分析している。 4月のように波紋が広がらずに一旦収束するのか、それともさらに両国がエスカレートして行くかは未知数だが、急落していた米株式市場も下げ渋っており、今後の情勢を確認したい意向もあるようだ。 なお、石破内閣が本日発足したが、石破首相は金融緩和について「緩和の基本姿勢は維持されるよう期待しながら見守っている。日銀との意思疎通のうえ、手法は日銀に委ねられるべき」と述べていた。経済再生担当相に決まった赤沢担当相も日銀の追加利上げについて慎重な判断を要請し「経済を冷やすようなことは当面やってはならない」と述べていた。 これらの発言もあり、市場は少なくとも今月末の決定会合での利上げはないと見ている模様。ただ、植田総裁は見通しに沿って経済・物価が推移すれば、利上げを継続する方針を表明しており、市場では12月の利上げ期待も根強く残っている。エコノミストの間では半々といった調査も流れていた。なお、短期金融市場では来年以降との見方がコンセンサスとなっている状況。 ユーロドルは戻り売りが加速。一気に1.10ドル台半ばまで一時下落し、本日1.11ドルちょうど付近に来ている21日線を下抜けた。きょうは9月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表になっていたが、総合指数は前月比0.1%のマイナスとなっており、コア指数も前年比で2.7%と前回からは伸びが鈍化していた。 アナリストからは「ユーロ圏のインフレ低下、中東情勢の緊迫化、フランスの政治的な不安定化を背景に、ユーロの見通しは明るくない」との見解が出ている。フランスについては、財政赤字の目標達成を2年先送りすると発表された。 10月のECB理事会での利下げを裏付けるものだと指摘。「景気減速が続く中で金利を長期間に渡って抑制し続けることは、インフレを目標以下に押し下げるリスクがある」と述べている。 ポンドドルも戻り売りに押され、一時1.32ドル台半ばに下落する場面も見られた。1.32ドル台前半に21日線が来ており、目先の下値メドとして意識される。 きょうは下げたとはいえ、今年のポンドはG10通貨の中で最高のパフォーマンスを見せている。9月に英中銀は金利を据え置いているが、FRBやECBは利下げを決定し、年内残りの2回の会合でも利下げが有力視されている。一方、英中銀は11月の利下げは有力視されているものの、12月については未知数で短期金融市場では半分の確率でしか織り込めていない状況。 いずれは他の中銀と歩調を合わせる可能性が高いと見られているものの、しばらく英中銀の利下げは後追いになり、それがポンドを支えると見られている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美