ドルに買い戻し ドル円は144円台後半に上昇し、FOMC以降のレンジ上限を突破=NY為替概況
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ドルに買い戻し ドル円は144円台後半に上昇し、FOMC以降のレンジ上限を突破=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドルの買い戻しが優勢となる中、ドル円も買い戻しが膨らみ144円台後半に上昇した。ドル円は先週のFOMC以降、概ね143.00-144.50円の間で上下動していたが、きょうはその上限を突破している。145円台を試すか注目されるところではあるが、7月中旬以降、下降トレンドが形成されている中で145円台にはなお慎重な雰囲気もうかがえる。ただ、短期的にはリバウンド相場の雰囲気も出ており、明日以降の動きが注目される。 FRBは先週大幅利下げを実施したが、その積極的な行動が米経済にソフトランディングをもたらすと市場は期待している。ただ、その期待を裏付ける次のデータを確認したい雰囲気もある中、市場心理は依然として不安定な状態にあるとの指摘も聞かれる。 ドル円は9月16日に140円を一旦割り込んだ後に買い戻しが続いているが、日銀が利上げに慎重姿勢も垣間見せていることもドル円の下値をサポートしている模様。正常化の方向感は変わらないものの、急ぐ必要もなく、市場では年内の利上げはないとの見方で織り込んでいる。ただ、一部からは次の利上げは早くても1月との見方も出ており、来年は市場予想を上回るスピードで利上げが行われる可能性も指摘されているようだ。 ユーロドルは一時1.12ドル台まで上昇し、8月高値に顔合わせしたもののNY時間に入って1.11ドル台前半に伸び悩んだ。1.12ドル台に入ると戻り待ちの売りも多く出るようだ。ユーロはポンドに比べて上値が重い印象。それはECBの根強い利下げ期待が背景にある模様。ユーロ圏の経済活動の指標が低迷する一方、インフレ懸念は徐々に解消される中、ECBはより速いペースで利下げを行う可能性が高いとの指摘がエコノミストから出ている。 同エコノミストはECBは10月から来年4月までの間のすべての理事会で0.25%ポイント利下げを実施し、中銀預金金利が2.25%に達すると予想しているという。以前は来年9月に中銀預金金利が2.50%になるまで、隔回の理事会での利下げを予想していた。ECBの中銀預金金利は現在3.50%となっている。 ポンドドルも上げが一服し、1.33ドル台前半まで値を落とした。ポンドドルは先週の英中銀の金融政策委員会(MPC)を受けて上昇トレンドの勢いが増し、一時1.34ドル台を回復するなど、22年3月以来の高値水準に上昇していた。英中銀は足元のサービスインフレをなお警戒しており、FRBやECBのような思い切った利下げはできないとの見方がポンドを支えている。 リーブス英財務相が10月に初の秋季予算案を発表する予定だが、これは英中銀が来年にどのような立場を取るかという点において大きく影響するとの指摘が出ている。それはポンドにとっても重要な問題となる。 英国は現在、高インフレとの闘いに勝利しつつあるが、まだ安泰というわけではない。リーブス財務相がインフレの火を再び燃え上がらせるような予算案を示せば、金利はより高い水準に、より長期間維持され、ポンドはより強くなると述べている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美