ドル円、143円台前半に下落 再び21日線を下回る=NY為替概況
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ドル円、143円台前半に下落 再び21日線を下回る=NY為替概況 きょうのドル円はNY時間に入って伸び悩む動きが見られ、143円台前半に下落した。ドル円はロンドン時間には買い戻しが優勢となり、一時144円台半ばまで上昇する場面が見られた。リバウンド相場の機運も出ているものの、トレンド自体は下向きの中で145円台には躊躇している状況に変化はないようだ。 先週のFOMCの大幅利下げを受けて、市場では米経済のソフトランディング期待が高まっている。米株式市場ではダウ平均が終値ベースでの最高値を更新する中、ドル円も買い戻しが強まったが、今後は日米の金利差が縮小するとの観測から上値は依然として重い。 きょうの下げで再び21日線を下回っており、明日以降の動きが注目される。下放れるようであれば、140円割れを再び試す可能性もありそうだ。 ユーロドルは買い戻しが優勢となり、1.1175ドル付近まで上昇。本日1.1095ドル付近に21日線が来ているが、その水準は維持されている。ただ、1.12ドルの蓋も重そうでポンドに比べれば上値が重い印象は否めない。 前日はユーロ圏のPMIが発表になっていたが、9月の縮小が示されていた。ドイツを中心に製造業が一段と低迷しており、域内の回復が息切れしつつあるとの懸念が高まっている。エコノミストからはユーロ圏経済は停滞に向かっているとの指摘が出ており、新規受注と受注残の急速な減少を考えると、経済は更に弱体化することは想像に難くないという。ECBは否定的な見解を示しているが、10月の追加利下げの見方も市場には根強くある。 ポンドドルはきょうも上値追いが続き1.34ドル台まで上げ幅を拡大。2022年3月以来の高値水準を更新している。FRBやECBが利下げを先行する中、ポンドは足元の英経済の成長が堅調なことや、英中銀がなお高水準のサービスインフレを警戒している中、英中銀の利下げはFRBやECBよりも遅くなるとの見方がポンドの下値を支援している。 市場は今週リバプールで開催されている英労働党のコンファレンスにも注目している。前日にリーブス財務相はより大きな投資を可能にするための財政ルール緩和の可能性を示唆していた。同財務相は気候変動への移行やその他の政府優先事項に数十億ポンドの投資を呼び込む計画を示唆。具体的な方法についての説明はなかったが、労働党が設立を予定している国富ファンドと公営のクリーンエネルギー会社「GBエナジー」を政府の帳簿から外す計画を検討しているという。これにより150億ポンドの借り入れ余力が生まれる可能性があるとも伝わっている。 ただ、アナリストはこれらの投資計画がなくても現時点でポンドは十分な支援を受けており、ポンドドルは1.35ドル台まで上昇する可能性があると述べていた。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美