ドル円、方向感なく上下動 自律反発の気配も=NY為替概況
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ドル円、方向感なく上下動 自律反発の気配も=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って方向感なく上下動した。一時144.40円付近と本日の高値圏まで買い戻されていたが、そこからの上値にはなお慎重で145円台を試す動きは見られず、143円台前半に値を落とす場面も見られていた。 ただ、先週初めに見られていたような140円割れを試す動きも見られず、自律反発の気配も出て来ている。7月の中旬以降、ドル円はほぼ一本調子の下げを見せて来たが、140円を一旦割り込んだことでショートカバーが入っている可能性もありそうだ。 先週の日銀の植田総裁の会見は予想よりはハト派的と受け止められたようだが、それ以降ファンド勢がショートポジションを軽くしている気配や、オプション市場では下値を警戒したポジションを解消する動きが見られている。ここに来て一旦買い戻しの雰囲気も出ているが、出たとしてもあくまで自律反発の域は出ないとの声も多そうだ。 本日の21日線が143.45円付近に来ているが、きょうのところはその水準を維持した。 ユーロドルは一時1.11ドルを割り込んでいたものの、NY時間に入って1.11ドル台に戻す展開となった。全体的に上値は重い。本日は9月調査のユーロ圏PMI速報値が発表になっていたが、予想を下回った。総合PMIは48.9に下落し、基準の50を下回っていた。 数字は活動の縮小を示唆していたものの、投入価格と産出価格がインフレの鈍化傾向を示しており、ECBは歓迎しそうだ。エコノミストは10月の利下げの可能性も十分あり得ると述べている。ドイツとフランスのPMIも予想を下回っていた。 ポンドドルは上げ幅を拡大し、1.33ドル台半ばまで上昇。2022年3月以来の高値水準を更新している。この日発表の英PMIは予想を下回り、英経済の年前半の急回復の減速を示唆した。特にサービス業における物価上昇圧力が引き続き緩和している兆候は英中銀の11月の追加利下げ期待を正当化する内容ではあった。発表後はポンドも軟調な反応を見せていたものの、一時的な動きに留まり、再び上値追いの動きに復帰している。 米利下げに伴う長期的なドル低迷で、特にポンドが大きな恩恵を受けるとし、今後12カ月間でポンドドルは1.40ドルに上昇するとの声が米大手証券から出ている。従来は1.32ドルだった。英中銀は最終的に利下げで他の中銀に追い付く必要があるとの指摘も多いが、米大手証券は英成長はなお堅調だと指摘。リスクのベータ値と堅調な成長の勢い、さらに辛抱強い英中銀がポンドの支援材料となっているという。市場は米国のリセッションリスクを除外しており、ポンドのようなプロシクリカルな通貨やリスク資産に有利となっていると続けた。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美