ドル円、大きく下に往って来いの展開 FRBは大幅利下げ パウエル議長は急がない姿勢を強調=NY為替概況

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ドル円、大きく下に往って来いの展開 FRBは大幅利下げ パウエル議長は急がない姿勢を強調=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は大きく下に往って来いの展開が見られている。午後にFOMCの結果が公表され0.50%ポイントの大幅利下げとなった。発表直後のドル円は142円ちょうど付近から140.50円まで急速に下落。ただ、パウエル議長の会見が始まると今度はその下げを急速に取り戻し142円台半ばまで買い戻されている。

 ドル円はFOMCの結果とパウエル議長の会見を受けて上下動したものの、基本的に方向感は見い出せていない。FRBは、市場の見解が分かれていた政策金利で大幅利下げを実施したが、エコノミストの間では利下げサイクル開始時の大幅利下げは過去にあまり例がなく、足元の経済指標からは必要ないとの意見も多かった。しかし、FRBは短期金融市場の期待通りに大幅利下げを行った。パウエル議長も会見で言及していたが、利上げ開始では批判も多かったが、今回の利下げサイクルでビハインド・ザ・カーブに陥りたくはないとのFRBの意志の表れのようだ。

 声明ではインフレの落ち着きに確信が強まったとし、雇用に軸足を移す姿勢が示されていた。また、今回はFOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)も公表されたが、中央値からは年内あと計0.50%ポイント、来年は計1.00%ポイントの利下げを見込んでいる。
 
 パウエル議長の会見では、インフレに勝利宣言をする状況ではなく、利下げを急がない姿勢を強調したことから、米国債利回りの上昇と伴にドル円も急速に買い戻されたようだ。

 ユーロドルはFOMC後に一旦1.11ドル台後半に上昇したものの、その後は1.11ドルちょうど付近に戻す展開となった。ユーロ自体の材料はなく、ユーロドルは専らドルに動かされているが、1.11ドル台はかろうじて維持しており、上向きのトレンドは堅持している。

 FRBは大幅利下げを実施して来たが、パウエル議長が利下げを急がない姿勢を強調していたこともあり、市場ではECBの10月利下げの期待も高まっていない。次回の追加利下げは12月の見通しで変わらない。

 ポンドドルもFOMC後に上下動し、一旦1.33ドル付近まで上昇したものの、1.31ドル台後半に伸び悩んでいる。本日の21日線は1.31ドル台半ばに来ているが、その上の水準をしっかりと堅持しており上向きのトレンドに変化はない。

 本日は8月の英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、予想通りではあったものの、コアインフレが前年比3.6%、サービスインフレが5.6%に上昇していた。これを受けてエコノミストからは、コア、サービスともに上昇したものの、それは英中銀の年内追加利下げには障害にならないとの見方が出ている。今回のデータはインフレの持続性を懸念する英中銀委員にとっては一見不都合な数字ではあるものの、心強い詳細もあるという。

 サービスインフレの上昇は航空運賃の大幅な上昇で完全に説明可能で、これはあくまで一時的なものであり、航空運賃がなければ全体的なインフレは低下していたと分析している。さらに、サービスインフレの上昇率は6月の5.7%よりは低く、英中銀自身の予測も下回っている。ただ、追加利下げは11月まで待つ可能性が高く、その時には経済動向のより明確な見通しが得られるだろうとも付け加えた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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