ドル円、米CPIと米株にらみで激しく上下動=NY為替概況

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ドル円、米CPIと米株にらみで激しく上下動=NY為替概況

 きょうのNY為替市場でドル円は激しく上下動した。この日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)でコア指数の前月比が0.3%上昇と予想を上回ったことから、米国債利回りの上昇と伴にドルの買いが強まり、ドル円も141円台から142円台半ばに一旦上昇した。

 米CPIについて市場では、来週のFOMCでの大幅利下げ期待が完全に後退しているほか、年内の利下げ期待も計1.00%ポイントは維持しているものの、前日からは後退している状況。もともと来週のFOMCでの大幅利下げの期待値は低かったが、FRBの利下げペースについては見方が分かれていた。今回の米CPI結果からは、FRBは利下げペースを急がないのではとの反応になっているようだ。

 ただ、動きが一巡すると米株式にらみの展開となり、序盤のダウ平均が700ドル超急落するとドル円も141円台に下落。しかし、今度は米株式市場が買いもどされ、ダウ平均がプラスに転じたことでドル円も142円台半ばに買い戻される展開となった。

 前日にハリス氏とトランプ氏の大統領選TV討論会が行われたが、市場はハリス氏がやや優勢だったと判断しているようだ。少なくともバイデン大統領の時のような反応は出ていない。ただ、支持は依然半々の状況に変化はない。もともと近年の米国は民主党、共和党で支持が完全に二分しており、僅差で大統領がどちらかに転ぶケースが続いている。世論調査やマスコミの報道は多々あれど、今回も投票日まで接戦なのかもしれない。市場はどちらのケースにも備えるべきというのが正解なのかもしれない。

 ユーロドルは戻り売りが続き、1.10ドル割れを試す動きも見られた。しかし、きょうのところは1.10ドル台は堅持している。明日にECB理事会を控えていることもあり下値に慎重になっている面もあったようだ。

 そのECB理事会だが、0.25%ポイントの利下げが確実視されている。その場合の中銀預金金利は3.50%まで低下。ただ、それ自体は市場も大方織り込んでおり、焦点は今後の利下げのヒントとECBスタッフの経済見通しになっているようだ。市場では声明やラガルド総裁の会見に変化はないと見られており、ラガルド総裁は恐らくデータ次第の姿勢を繰り返し、今後の利下げをコミットすることに強く反論すると見られている。

 一方、スタッフ見通しでは最新の成長とインフレの見通しが公表されるが、そこでは成長見通しが若干下方修正されると見られている。ドイツ経済の低迷が主な要因。しかし、その規模は利下げ期待やユーロ下落を正当化するほど大きくはないとも見られているようだ。ユーロはそれなりの動きを示すかもしれないが、大きなトレンドには繋がらない可能性も留意される。

 ポンドドルは1.30ドル割れを試す動きも見られていたが、1.30ドル台は堅持。本日は7月の英月次GDPや鉱工業生産などのデータが公表されていたが、いずれも予想を下回る内容となっていた。これらは英中銀に8月の利下げ開始は正しかったという確信を強めさせ、今後数カ月のうちに追加利下げが必要になるとの見解も聞かれる。

 しかし、来週の金融政策委員会(MPC)で利下げを余儀なくされるほど弱いものではなかったとも述べている。7月の月次GDPは前月比で横ばいだったが、第3四半期はプラス成長を維持するだろう。しかし、年前半の高水準からは減速を見込んでいるようだ。第3四半期は英中銀の見通しと同じ前期比0.4%増を予想しているという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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