ドル円は143円台に再び下落 米2年債利回り低下でドル売り優勢に=NY為替概況

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ドル円は143円台に再び下落 米2年債利回り低下でドル売り優勢に=NY為替概況

 きょうのNY為替市場でドル円は143円台に再び下落している。この日はドル売りが優勢となる中、一旦145円台まで買い戻されていたドル円も上値を維持できなかった。午後の米2年債入札結果を受けて、政策金利に敏感な米2年債が低下したこともドル円の売りを誘った。

 先週のパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演を受けて、ドル円は一旦143円台半ばまで下落していたが、やや行き過ぎとの見方もある中、ドル円は買戻しが膨らんでいた。しかし、7月中旬から形成されている下向きの流れも強く上値での抵抗感も根強い。

 ただ、オプション市場では、植田日銀総裁やパウエル議長の発言の前よりは下値を警戒したヘッジの動きは緩んでおり、短期的には買い戻しを期待する声も一部に出ている。しかし、本日の動きを見た限りにおいては、なお上値は重いようだ。

 ユーロドルはNY時間の午後になって買いが膨らみ、1.11ドル台後半に戻す展開となった。専らドルの要因でユーロドルは動いているが、今週は29日にドイツ消費者物価指数(HICP)、30日にユーロ圏消費者物価指数(CPI)の速報値が発表となり、動向が注目される。

 本日は第2四半期のドイツGDP確報値が公表されていたが、速報値と変わらずに前期比0.1%のマイナス成長となっていた。昨年第4四半期に続くマイナス成長となったが、エコノミストはドイツ経済について、1年前の状態に戻り、停滞から抜け出せなくなっているとの指摘が出ている。民間消費は前期比0.2%減、設備投資も2%超の減少、輸出も成長の足を引っ張った。

 ただ、依然としてドイツ経済は回復の兆しが見えないとはいえ、実質賃金の上昇のほか、在庫循環の好転に必要なのは製造業受注の僅かな改善である点を考えれば、希望を捨てるのはまだ早いとも付け加えた。

 ポンドドルは再び買いが優勢となり、1.32ドル台を回復。ポンドは力強い値動きを継続している。ジャクソンホールでのFRBのシンポジウムに参加していたベイリー英中銀総裁が利下げに慎重な見解を示していたが、それに対して英短期金融市場はまだ十分に反応しておらず、ポンドはさらに上昇する可能性があるとの見方も出ている。

 パウエルFRB議長とは異なり、ベイリー総裁は本質的なインフレを懸念しており、金融引き締め政策の経済コストは軽減されていると感じていると述べていた。ポンドに対する強気な見方は多く、1.35ドルを見込む声も増えている。

 本日はスターマー英首相が演説を行っていたが、政権が10月に提示する予算案は痛みを伴うものになると警告し、増税に布石を打っていた。英景気の先行き警戒感も高まりそうな演説ではあったが、市場の反応は限定的だった。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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