ドルは再び売り優勢に ドル円は147円台に再度下落=NY為替概況

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ドルは再び売り優勢に ドル円は147円台に再度下落=NY為替概況

 きょうのNY為替市場でドルは再び売り優勢となり、ドル円は147円台に再度下落した。この日発表の8月調査分のミシガン大消費者信頼感指数が予想を上回ったことでドルは一旦買い戻されていたが、動きが一巡すると、再びドル売りの流れに戻っている。

 FRBが9月FOMCで利下げを実施するとの見方には変化はないほか、イスラエルとハマスの停戦交渉が再開している。中東情勢の緊迫化が一服し、原油相場が下落していることも、リスク回避のドル買い需要を後退させている模様。

 今週のインフレ指標、そして前日の米小売売上高を経て市場は、今月初めの世界的な株安の引き金となった景気後退懸念は過剰反応であったとの判断に落ち着いている。今週発表された指標はソフトランディングのシナリオがまだ有効であるという希望を強めた。

 今回の結果を受けて市場では、9月FOMCでの利下げ期待は温存されているものの、大幅利下げについては可能性を大きく後退させている。ただ、FRBはインフレよりも実体経済、特に雇用の方に焦点が移している中、ECBや英中銀よりも利下げペースが速くなるのではとの観測がドルの上値を重くしているようだ。

 ユーロドルは1.10ドル台を回復。このところユーロドルが買い戻されている背景に、FRBの利下げがECBを上回るとの見方がある。FRBがインフレ鈍化に対応して、ECBよりも積極利下げを行う可能性が高いと見ているようだ。

 FRBの政策対応機能はECBよりもインフレの変化に対して弾力的で、FRBはターミナルレート(最終到達点)までに6回利下げを行うのに対して、ECBは4回に留まると見ているという。また、秋から冬にかけての米成長は想定よりも控えめになると予想しており、これは米成長の構造的優位性という見方を損ない、ドル安につながるとしている。そのシナリオの場合、ユーロドルは来年の半ばまでに1.14ドルまで上昇すると見ているようだ。

 ポンドドルは1.29ドル台半ばに上げ幅を拡大。本日の上げで21日線を上放れる展開が見られており、来週以降1.30ドル台の回復を試しそうな気配が出ている。目先は7月高値の1.3045ドルが上値メドとして意識される。

 本日は7月の英小売売上高が発表になっていたが、予想こそ下回ったものの、前月比0.5%増と回復に転じた。下半期に入って個人消費主導の回復が一段と進むことを期待させる内容ではあった。夏のスポーツイベントや割引セールが、デパートやスポーツ店の売り上げを押し上げていた。

 今週は重要な英経済指標が目白押しだったが、失業率やGDPといった実体経済を示す数字が概して良好だったこともあり、9月の英金融政策委員会(MPC)での追加利下げの可能性は盛り上がっていない。短期金融市場では30%程度の確率に留まっている。しかし、英中銀は年内にあと1回か2回の追加利下げを行うとの見方も根強い。11月の利下げが確実視されているほか、12月に70%程度の確率で追加利下げを織り込んでいるようだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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