ドル円、146円台半ばまで急落 米雇用統計で景気の先行き懸念を更に強める=NY為替概況

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ドル円、146円台半ばまで急落 米雇用統計で景気の先行き懸念を更に強める=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って売りが加速し、146円台半ばまで急落している。この日発表の7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が予想を大きく下回り、失業率も悪化した。前日は弱いISM製造業景気指数を受けて、市場はFRBの利下げ期待ではなく、景気の先行き懸念を強め、リスク回避の雰囲気が強まっていた。その意味でも本日の米雇用統計は注目されたが、その懸念を更に強める内容となっている。

 今回の米雇用統計を受けて市場は、9月のFRBの0.50%ポイントの大幅利下げを織り込む動きまで出ている。今週のFOMC後の会見でパウエル議長は大幅利下げは否定していた。また、FRBの動向に敏感な米2年債利回りが、10年債に引き続き4%を割り込んでいる。

 ドル円は148円台半ばに2023年1月からの上昇相場の下値支持線が来ている。テクニカル勢も動向を注目していたが、米雇用統計の発表でその水準を完全にブレイクし、200日線からの下方かい離も拡大していることから、値ごろ感の押し目買いと同時に、下値警戒をさらに高めそうな展開が見られている。目先は145円が意識されそうだ。

 ユーロドルは1.09ドル台を一気に回復。本日は安値から150ポイント程度急上昇しており、200日線も一気に回復、目先は7月高値の1.0950ドルが意識される。

 きょうの米雇用統計を受けて、市場は9月のFRBの利下げを確実視しているほか、0.50%ポイントの大幅利下げの可能性を織り込む動きも出ている。一方、ECBのほうは据え置きの可能性が高いという。最近の欧州のインフレは、米国と欧州のインフレの相関関係を考えれば、ECBが追加利下げに慎重になる可能性が高いという。また、FRBの決定がECBの動きに大きな影響を与える可能性も低いという。

 最新のデータによると、ECBが最も懸念しているのはインフレ再上昇であり、追加利下げまでには数カ月を要する可能性が高いとも述べている。

 ポンドドルも買い戻しが優勢となり、一時1.2840ドル近辺まで上昇する場面が見られた。ただ、上値での戻り売り圧力も強まっており、一時1.27ドル台に伸び悩んでいた。

 英中銀は前日に僅差ではあったものの利下げを決めた。一方、市場は同時に追加利下げへの期待も高めており、11月までなら完全に織り込み、9月についても半々の確率で見ている。ただ、ピル英中銀チーフエコノミストは直ちの追加利下げには否定的な見解を示していた。インフレ退治はまだ完了しておらず、サービスセクターの根強い物価上昇圧力を指摘している。ピル委員は前日の決定で利下げに反対票を投じていた。

 しかし、市場は英経済の先行き不透明感の高まりから、年内にあと2回の利下げを織り込んでいる。本日のNY市場のように、米経済に不透明感が強まるようであれば、その可能性も高まりそうだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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