再送:米CPIとFOMCでドル円は下に往って来い 155円台に一時下落も156円台後半に戻す=NY為替概況

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米CPIとFOMCでドル円は下に往って来い 155円台に一時下落も156円台後半に戻す=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は一時155円台に下落したものの後半に156円台後半に戻した。この日の米消費者物価指数(CPI)が2カ月連続でインフレの鈍化傾向を示したことから、市場は利下げ期待を復活させ、年内2回の利下げを織り込む動きを見せていた。それに伴ってドル円も155円台まで急速に下落。

 その後のFOMCが注目されたが、FOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)は1回の利下げ予想に留まった。市場も米CPI後の2回の利下げ期待を後退させ、ドル円も買い戻しが強まったが、なお高い確率で2回の利下げを織り込んでいる。一部からは「今回のドット・プロットは5月の米CPIを考慮していない可能性が高い」との指摘も出ていた。ディスインフレがさらに続けば、年内に2回の利下げが実施される可能性が高いという。

 なお、その後のパウエル議長の会見は、インフレの進展に言及したものの、まだ高過ぎるとし、確信を強めるにはさらに良好なデータ必要との認識を示していた。タカ派な雰囲気まではないが、ハト派でもなく、バランスを取った発言に終始している印象。

 ユーロドルは後半に伸び悩んだものの、1.08ドル台を回復している。本日の上げで200日線と100日線を回復しており、明日以降の動きが注目される。

 ECBによると、世界の準備通貨に占めるユーロの割合が昨年低下し、2017年以降で最低となったと報告した。各国はユーロ建て資産を1年間で約1%ポイント減らし、第4四半期末の外貨準備に占めるユーロの割合を20%に低下させた。2022年は21%、2017年は19.2%だった。

 ユーロの人気が低下した理由としてECBは、ウクライナ戦争でロシアに課された制裁関連措置とスイス中銀による為替介入を挙げている。ECBはロシアが外貨準備の約40%をユーロで保有していると指摘。昨年末の外貨準備高は全体で約11.2兆ユーロ。ECBによると、ドル、円、非伝統的準備通貨のシェアは上昇したという。一方、バランス上はユーロの国際的な役割は2023年もほぼ安定しているとも述べている。

 ポンドドルも買い戻しが強まり、一時1.28ドル台半ばまで上昇したものの、1.28ドルちょうど付近に伸び悩んでいる。英国では7月4日に総選挙が控えており、市場も行方を注目している。世論調査では野党・労働党の優勢が伝えられており、政権交代が視野に入っているようだ。労働党政権になれば、EUとの関係が再構築されポンドにとって有利との指摘もあれが、エコノミストからはポンドや英国債に与える影響は軽微との見方も出ている。

 投資家の関心は、英中銀が利下げに踏み切る可能性がある8月の政策委員会を前にした経済指標に向けられるという。選挙は目先の目くらましにはなるが、影響は最小限に留まると見ているようだ。また、短期金融市場では8月利下げの確率を50%程度で見ているが、市場は過小評価しているとも述べた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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