ドル円、154円台半ばまで一時下落 円ショートを見直す動きも=NY為替概況

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ドル円、154円台半ばまで一時下落 円ショートを見直す動きも=NY為替概況

 きょうのNY為替市場でドル円は売りが加速し、154円台半ばまで一時下落した。一旦155円台に買い戻されていたものの、上値での戻り売り圧力も強まりつつあるのか、155円台を維持できていない。きょうの下げで21日線を下放れる展開が見られ、ロング勢の利益確定売りを誘ったようだ。

 ただ、本日の市場全体はドル買いが見られていたが、それ以上に円買いの動きが強まっている模様。東京時間に日銀が来週の決定会合で国債購入額の減額を検討するのではとの報道が流れていたが、海外勢の間では日銀の利上げ期待が根強い。年内にあと3回、計0.75%の利上げを見込む声もあるようだ。このところの日銀審議委委員の発言のトーンが変わっており、円安に一段と敏感になっていることを示唆していることが背景だという。

 今週から6月相場に入っているが、市場の意識がFRBの利下げから米景気の先行きに変化している面も指摘されている。前日のISM指数は米景気の先行き不透明感を強める内容となっていたが、市場はそれにネガティブな反応を見せていた。本日も米求人件数が発表され、米労働市場の鈍化傾向が示されていた。FRBの利下げ期待を正当化する内容ではあるが、ドル売りの反応は出てない。ドル円については、呼応している米国債利回りの下げに直接反応している可能性が高いものの、米景気の先行き警戒感から、これまでの円ショートを見直す動きが出ているのかもしれない。

 ユーロドルは戻り売りに押された。強い上値抵抗も観測されていた1.09ドル台に上昇していたものの、NY時間にかけて1.08ドル台に伸び悩む展開。ただ、リバウンド相場はしっかりと維持されている状況。

 ユーロに関しては木曜日のECB理事会待ちの面も強いが、利下げ開始が確実視されている。一部からは、ECBはFRBの利下げを待つ必要はなく、FRBに先駆けたECBの利下げは理に適っているとの指摘が出ている。インフレや成長における大西洋間の差はそれを正当化するという。

 また、市場は年初にECBの利下げを織り込み過ぎた面もあり、市場は今後12-15カ月間にECBがどの程度の利下げを行うかをやや過小評価しているとも指摘。そのうえで、今回の6月のほか、9月、12月に更新されるスタッフ見通しに合わせ、四半期ごとに0.25%ポイントずつ計0.75%ポイントの利下げを今年は実施するとの見方を堅持するとしている。

 ポンドドルはNY時間の前半のドル買いで一時1.27ドル台半ばまで下落した。東京時間の早朝に英小売協会(BRC)が5月の英既存店売上高を発表していたが、前年比0.4%増と予想は下回ったものの小幅に増加していた。

 これを受けてエコノミストからは、英中銀は利下げに踏み切るはずだとの指摘が出ている。食品の売上高が全体を押し上げ、食料品価格の上昇も抑えられ、買い物客の実質的な消費力が高まっていることを示唆する内容となった。英消費者の実質的な生活水準は引き続き改善されるはずで、これは英中銀に利下げへの道を開くが、7月初旬の次期政権誕生までは待つ可能性が高く、8月か9月に最初の利下げが行われる可能性があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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