AI電力消費抑制の救世主、舞い上がる「SiCパワー半導体」関連株 <株探トップ特集>

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コラム

―求められる電力消費の低減策、冷却システムの負担軽減メリットも―

 3日投開票の米中間選挙で野党・民主党が連邦議会の上下両院で過半数を占めることが確実となったことで、人工知能(AI)関連の規制強化に動くとの警戒感がくすぶっているものの、データセンター(DC)市場は生成AIの普及やクラウド利用の急拡大から更なる成長が見込まれる。AI向けDCでは計算処理を担う画像処理半導体(GPU)などを休みなく動かすために大量の電力が必要となるが、そこで重要性が飛躍的に高まっているのが電力効率を高める次世代パワー半導体 だ。なかでも今回は、従来のシリコン(Si)と比べてエネルギー効率を大幅に向上できるシリコンカーバイド(SiC)パワー半導体にスポットを当てた。

●国際規格発行で品質向上も

 総務省が7月に公表した2026年版の情報通信白書によると、国内DCサービスの市場規模(売上高)は24年の234億ドルから30年には351億ドル(1ドル=160円換算で5兆6160億円)まで拡大する見通し。そのうち約半分がネットワークインフラに関連する機器やサービスになると予測されている。

 DCでSiCパワー半導体が求められる理由としては、高電圧・高電力環境で優れた性能を発揮し、スイッチング損失と導通損失の低減によって高効率化のほか、コンパクトで高密度なシステムに適した高い信頼性が実現できること。また、Si同等品よりも高温で動作させることが可能なため、DCの冷却システムの負担を軽減できるといったメリットもある。

 直近の話題では、産業技術総合研究所が10月27日、X線トポグラフ法(XRT)を用いたSiCエピタキシャルウェハーの欠陥試験法に関する国際規格「IEC63068-5」が発行されたと発表。従来の光学検査やフォトルミネッセンス法による品質評価では、特定の結晶欠陥を見逃してしまう可能性があったが、新たに導入されたX線トポグラフ法はウェハー全体を通じて結晶欠陥を可視化することが可能。この方法により、製品に重大な影響を及ぼすような欠陥も正確に検出できるようになることからSiCエピタキシャルウェハーの品質向上につながり、信頼性の高いデバイスの実現に寄与するとみられている。

●市場拡大を支える銘柄群

 SiCデバイス・モジュールの中核メーカーとしては三菱電機 <6503> [東証P]、富士電機 <6504> [東証P]、新電元工業 <6844> [東証P]、三社電機製作所 <6882> [東証S]、ローム <6963> [東証P]、デンソー <6902> [東証P]などが挙げられるが、素材・基板・加工装置の関連銘柄も見逃せない。

 東海カーボン <5301> [東証P]は10月20日、等方性黒鉛製品の販売価格を来年1月出荷分から10~20%値上げすると発表。等方性黒鉛製品は、熱膨張や機械的強度が全方向で均一であり、SiCなどの次世代パワー半導体を製造する工程(単結晶引き上げ炉やエピタキシャル成長炉など)に欠かせない高純度カーボン部材として広く使われている。

 第一稀元素化学工業 <4082> [東証P]は、9月30日~10月2日に幕張メッセで開催された展示会「高機能マテリアル展」に、半導体製造プロセス向けなどで優れた研磨特性を持つジルコニアゾル「ZSL108」を出展。均一な粒度分布と特徴的な粒子形状を実現し、SiCウェハー研磨において従来品を上回る高い研磨速度を発揮するという。

 田中精密工業 <7218> [東証S]は9月28日付で、高熱伝導性の繊維状窒化アルミニウム単結晶「Thermalnite(サーマルナイト)」を中核とする放熱材料を手掛けるU-MAP(名古屋市千種区)と資本・業務提携契約を締結。サーマルナイトはSiCなど次世代パワーデバイスの熱課題解決に寄与するとされ、両社は材料技術と製品化技術を組み合わせ、放熱材料を実用的な冷却部材・モジュールへと発展させることで新たな市場の開拓を図る考えだ。

 住友金属鉱山 <5713> [東証P]は9月18日、世界初となる12インチ(300ミリ)の貼り合わせSiC基板「SiCkrest(サイクレスト)」を開発し、半導体メーカーにサンプル出荷を開始したと発表。SiC基板の大口径化は、製造コストの低減や生産効率の向上につながるとされ、同社は今後も顧客ニーズに応えていく構えだ。

 レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]は9月15日、12インチのSiC単結晶の成長と基板加工に成功したことを明らかにした。単結晶SiC材料は高い熱伝導率を持つことからAIサーバーやハイパフォーマンスコンピューティング向け半導体の放熱基板や先端パッケージ基板への応用が期待されている。

 ノリタケ <5331> [東証P]は9月2日、SiCウェハーなどの製造における研磨工程で使用するダイヤモンド砥粒内包型研磨パッド「LumiDia(ルミディア)」を開発したと発表。ダイヤモンド砥粒を内包する独自構造により高い研磨性能を実現し、ダイヤモンドスラリーでは困難だったSiCウェハーの端面研磨を可能にしており、水のみでの研磨ができることから産業廃棄物の低減にもつながるという。

●TOREXなどにも注目

 このほかの関連銘柄としては、SiCウェハーなどの難加工・硬質材料向け電気化学機械研磨法を持つジェイテックコーポレーション <3446> [東証S]、SiCの受託研磨加工を手掛けるマイポックス <5381> [東証S]、SiCのインゴット(塊)を切断・加工するマルチワイヤーソー大手のタカトリ <6338> [東証S]、SiCパワーデバイスの製造工程で使用される装置を展開するサムコ <6387> [東証P]、SiCの受託製造を行うトレックス・セミコンダクター <6616> [東証P]、SiCウェハーの欠陥検査装置を提供するレーザーテック <6920> [東証P]、次世代パワー半導体の信頼性評価・受託分析・故障解析に強みを持つクオルテック <9165> [東証G]など。

 また、先進的なプラズマプロセス技術を持つ英オックスフォード・インストゥルメンツの日本法人と、日本国内における化合物半導体プロセス装置の販売代理店契約を締結した伯東 <7433> [東証P]にも注目。SiCパワーデバイスなどを用いたデータ通信・光エレクトロニクス用途の拡大を背景に、先進的なプロセス技術への需要が高まっており、両社はデバイス品質、製造性能、生産性、コスト最適化など複雑化する顧客の課題解決を支援するとしている。

株探ニュース

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