AI時代に活躍必至、「サイバーセキュリティ」株は新たな飛躍ステージへ <株探トップ特集>

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コラム

―目下マーケットでは関連中小型株が躍動中、「SaaSの死」乗り越え見直し機運高まる―

 サイバー攻撃が後を絶たない。ここ数年だけでも有名出版社や大手ビールメーカーへの被害をはじめ、「証券口座乗っ取り事件」など社会的関心を集める事案が相次いだ。今年に入ってからもKDDI <9433> [東証P]やニチレイ <2871> [東証P]、直近ではパーク24 <4666> [東証P]への不正アクセス被害が明らかとなっている。こうしたなか、10月1日に「能動的サイバー防御」関連法が施行された。政府と企業が連携して体制づくりを行うなど取り組みが進められることになる。「サイバーセキュリティ」は官民を挙げた対応が求められる重要分野であり、息の長い投資テーマとして注目する必要があるだろう。

●日本企業がアンソロピックと続々提携

 警察庁は9月、半年ごとにまとめる「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公表した。これによると、今年上半期のランサムウェアによる被害報告件数は123件。統計を取り始めた2020年下半期以降、半期の件数として過去最多を記録した。不審なアクセスも1日・1IPアドレスあたり1万3687件と、前年同期(9085件)に比べて急増したという。

 ネット空間における不安が高まりをみせるなか、セキュリティー需要を捉えようと各社の動きは活発化している。NEC <6701> [東証P]は独自のインテリジェンスと AI技術を融合した次世代セキュリティーサービス「CyIOC(サイオック)」を新ブランドとして昨年に提供開始。今年4月には米アンソロピックと戦略的協業を行うことを発表した。富士通 <6702> [東証P]も5月にアンソロピックとの戦略的パートナーシップを発表。8月にはAI時代のサイバー防衛戦略を策定し、社内で取り組みを進めるとともに、そこで得たノウハウを将来的に外部提供する考えを示した。

 専業大手のトレンドマイクロ <4704> [東証P]もアンソロピックとの連携を今春発表。同企業の「クロード」を活用し、脆弱性の発見や自動防御といったサービスを強化する。同じく大手のデジタルアーツ <2326> [東証P]はAIのセキュリティーや利活用に関する複数の技術を有しており、特許を出願中あるいは取得済みのものもある。グローバルセキュリティエキスパート <4417> [東証G]はAI活用サービスの創出や関連ビジネスに参入する方針を明示。AIセキュリティーのスタートアップと提携するなど動きを加速させている。

●事件相次ぎ物色人気に火

 株式市場において「サイバーセキュリティ」は投資家の熱い視線が注がれるテーマの一つだ。一連の銘柄群は年前半に台頭した「SaaSの死」懸念を背景に売り込まれたが、この流れが夏ごろ一服し、足もと見直し機運が高まっている。今夏、海外企業が開発するAIがサイバー攻撃を起こす事案が発生し、世界的に大きな波紋を呼んだ。これは意図しない事故だったわけだが、AIが悪用されることの恐ろしさを呼び起こすのに十分な出来事であったといえる。ネット空間における安全確保の重要性が改めて認識され、これに貢献する企業には活躍の舞台がますます広がる――こうした見方が市場に徐々に浸透しているのかもしれない。

 そして、ここへきて関連銘柄、なかでも中小型株を中心に急動意するものが相次いでいる。直近、秘密分散技術に強みを持つZenmuTech <338A> [東証G]が突如立て続けにストップ高に買われ、セキュリティーソフト販売のアズジェント <4288> [東証S]、デジタルリスク対策のエルテス <3967> [東証G]も商いを伴って急騰。セキュアヴェイル <3042> [東証S]、セグエグループ <3968> [東証P]、VLCセキュリティ <2467> [名証N]なども強含む場面がみられた。冒頭で挙げたように企業への不正アクセス事案が頻発しており、これが物色人気に火をつけたようだ。これら以外にも注目すべき関連銘柄はまだ数多くあり、以下に有望6銘柄をピックアップした。

●AI活用のHENNGE、サイバSOLなど

 サイバーセキュリティクラウド <4493> [東証G]はAIによる高度な防御技術を備えた「攻撃遮断くん」をはじめ脆弱性診断、専門家による支援サービスなど、さまざまなセキュリティーソリューションを展開する。大手から中小企業まで幅広い顧客基盤を有し、成長路線をまい進。上期の営業利益は前年同期比30%増の6億1900万円を達成し、連続最高益を見込む通期計画(12億円)に対する進捗は順調だ。グロース企業ながら配当を実施しており、株主還元の姿勢も評価される。株価は3月安値(1448円)を底に下値を切り上げる動きが続く。

 カウリス <153A> [東証G]は金融機関向けに不正アクセス検知サービス「Fraud Alert(フロードアラート)」を提供する。金融庁のマネーロンダリングやテロ資金供与対策に関するガイドラインに対応している点が強みだ。新規事業として電力契約情報を活用した本人確認サービスも手掛け、業容を拡大している。8月の上期決算発表時に通期予想を上方修正し、26年12月期は営業30%増益で過去最高を更新する見通しを示した。新規の顧客獲得や既存顧客への単価引き上げが寄与するという。株価は夏ごろを底に持ち直しの動きをみせている。

 HENNGE <4475> [東証G]はセキュリティーサービス「HENNGE One(ヘンゲワン)」を手掛ける。AI活用サービスを開発・提供する新会社を設立したと今月1日に発表。翌2日には東証グロースからプライム市場への移行を明らかにした。企業の旺盛な需要を取り込み、25年9月期まで4期連続の営業2ケタ増益を達成し、26年9月期も前の期比15%増の20億5700万円と過去最高更新を計画する。24年9月期から配当を開始し、増配を続けている点もポイント。株価は上げ足を速め、年前半の1000円割れ水準から1800円近辺へと浮上。昨年高値(1949円)の奪回が見えてきた。

 セグエグループ <3968> [東証P]はセキュリティーソフトやITインフラ製品を輸入・販売。自社開発品にも注力している。政府系や大手企業向け大型案件の獲得が奏功し、上期の営業利益は前年同期比3.2倍の21億9600万円と急拡大。この上期業績の発表とあわせて通期予想を上方修正し、26年12月期の同利益を前期比40%増の26億円とした。連続での過去最高更新を狙う。やや控えめな予想とも受け取れるが、これは今後の成長投資の積極化を織り込んだものとみられる。株価は75日線がサポートラインとして機能し、堅調な値動きを続けている。

 サイバーソリューションズ <436A> [東証G]はメールセキュリティーサービスを主力とするソフトウェア企業。AIを活用したセキュリティーブランド「AiSE」を7月に発表し、第1弾としてメール誤送信対策サービス「AiSE Guard(アイシーガード)」を9月に提供開始。更に今月に入って第2弾となる内部不正防止ソリューション「AiSE Auditor(アイシーオーディター)」をリリースした。日立システムズやTKC <9746> [東証P]といった大手ITベンダーをはじめ、今年に入って同業の網屋 <4258> [東証G]と資本・業務提携するなど協業体制を拡大中。株価は夏ごろから上昇基調をたどる。

 FFRIセキュリティ <3692> [東証G]は純国産製品「yarai(ヤライ)」や官公庁向けに調査・研究・分析・教育サービスなどを手掛けるセキュリティー関連の中核銘柄。高市関連株として昨年大相場を演じたのは記憶に新しいだろう。その後は長らく調整していたが、足もと再び動意づいている。同社株を巡り、このところGMOインターネットグループ <9449> [東証P]が買い集めに動いており、GMO側は保有目的を「純投資」としているものの思惑を呼んでいる。

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