明日の株式相場に向けて=マイクロン決算通過後の世界を読む

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 きょう(29日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比396円安の6万5481円と続落。取引時間中に相場の方向性を左右するカタリストが観測されたわけではないが、先物を絡め非常に不安定な値動きとなり、後場寄りには一段安で下げ幅が1200円近くまで広がる場面があった。これは韓国KOSPIに連動したもので、その後に日経平均はKOSPIと綺麗に足並みを揃えて戻り歩調に。結局、大引けは400円弱の下げにとどまり後場だけでみれば高値引け。きょうは配当権利落ちに伴う下値インパクトが380円程度という試算がなされており、それを考慮すると実質的にはわずかな下落にとどまった。

 全体相場の底堅さの背景として特徴的だったのは、レーザーテック<6920.T>やディスコ<6146.T>、SCREENホールディングス<7735.T>といった半導体製造装置大手に終始プラス圏で頑強な値動きをみせる銘柄が目立っていたこと。これは特定の材料や相場観(バリュエーション)に基づいた買いというよりは、ショート筋の買い戻しが主軸となっていると思われる。ディスコに関しては大手証券のレーティング最上位への引き上げがプラスに作用した形ではあるが、市場では「目標株価を大幅に(16%)下方修正してのレーティング引き上げで、通常は上昇バイアスがかかりにくい。明確に判断できないが、その他の需給的な共通項が背景にあった」(ネット証券ストラテジスト)という声が聞かれた。なお、ディスコはきょうで5連騰である。

 今週は米国で重要経済指標が相次ぐ。この結果を見極めたいというニーズが強いのは当然だが、足もとで年内の残り2回のFOMCで連続利上げ、9月から数えて3会合連続の利上げ観測が一人歩きを始めているのには驚かされる。FRBから発信される強烈なタカ派シグナルが直近の市場コンセンサスの醸成につながっているのは確かだが、フォワードガイダンスに否定的なスタンスを標榜するウォーシュFRB議長のもとで、これは皮肉な光景でもある。

 ともあれ、足もとの金利上昇は米国を筆頭に好調を極める企業業績と同時進行している。つまり景気拡大と共存する金利上昇を株式市場においてネガティブ視するのは間違っているという意見がある。これは2000年以降の米長期金利と株価の動向を見比べると同じ期間にいずれも上昇している、つまり逆相関関係にはなかったことを顧みれば証明される事例でもある。しかし、近年の好調を極める企業業績は、爆発的なAIインフラへの投資意欲が唯一無二の成長エンジンとなっている。この特異なバックグラウンドは留意しておく必要があろう。そうしたなか、大手IT企業の経営者を中心にAI開発の減速論が大手を振り始め、もとより企業側の資金調達に向けたハードルも高まりつつあるなかで、金利上昇の追い討ちがかかるという今の経済環境は、業績がどこかで急激に冷え込むようなケースも考えておかなければならない。歯車が逆回転を始めると止まらないというリスクシナリオである。

 また、世界的な金利上昇を単純に株売りに結び付けるのは、過去を参考に長期視点では蓋然性に乏しいとしても、短期的には金利上昇圧力がAIアルゴリズム売買などを絡めた売りプログラムを作動させるという株式需給による背景も実際に存在する。これに抗(あらが)うのも、トレーダーの観点に立って賢明とはいえず、機械的な売りに右に倣えせざるを得ない部分があることも現実問題として否定できない。ポジション調整の売り、つまり持ち高をパンパンにしたままではなく、少し軽くしておきたいという程度の思惑であっても、皆がその思惑に従えば流れは徐々に勢いを増し、結果リスクオフの激流へと発展する危険性を内包しているのが株である。

 現地時間30日に開示される米マイクロン・テクノロジー<MU>の決算発表は、良くも悪くも一つの試金石となるはずである。抜群の四半期決算となることは概ね想定されるところで、次期のガイダンスに関しても好調を極める内容が想定される。しかし、そびえ立つような市場コンセンサスを、首尾よく越えていけるのかについては定かではない。また、内容いかんに関わらず、この決算発表を売りイベントとみなす向きも少なからずいそうである。仮にいったん好感されてAI・半導体関連の主力株が値を飛ばしても、持続性が伴わない可能性も考慮される。オープンAIだけではなく、アンソロピック上場のタイミングも後ずれしそうな現状は注意が肝要で、一歩足を引いたスタンスで俯瞰する時間的余裕を持つべきであろう。

 あすのスケジュールでは、8月の鉱工業生産(速報値)、8月の商業動態統計がいずれも朝方取引開始前に発表される。前場取引時間中に2年物国債の入札が行われる。後場取引時間中に発表される8月の建機出荷、8月の自動車輸出実績、8月の住宅着工統計なども注目される。海外では9月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、9月の中国非製造業PMIが開示されるほか、9月のレーティングドッグ中国製造業PMI、9月のレーティングドッグ中国非製造業PMIの開示なども予定されている。また、8月の豪消費者物価指数(CPI)が発表される。米国では9月のADP全米雇用リポートや8月の米個人所得・個人消費支出、PCEデフレーターなどにマーケットの関心が高い。これ以外に、4~6月期米実質国内総生産(GDP・確定値)や9月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も公表される。なお、個別企業ではマイクロン・テクノロジーの26年6~8月期決算発表が注目されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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