防災庁11月発足、災害対策加速で「建設コンサル」関連株が動き出す <株探トップ特集>
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―「事前防災」推進で躍動前夜、錦の御旗掲げ成長ロードをひた走る― 防災庁が11月にスタートする見通しだ。南海トラフ地震や首都直下地震への対応、そして大規模水害をはじめとする自然災害が頻発化・激甚化するなか、防災庁は「事前防災」など平時からの備えはもちろん、災害後の復旧・復興まで一貫した司令塔機能を担うことになる。災害列島と揶揄(やゆ)される日本において、発災前に防災・減災に向けてのインフラ整備を進める事前防災の重要性が高まっており、この分野で大きな役割を担ってきたのが「建設コンサルタント」だ。政府は、防災庁設置により防災体制を抜本的に強化する構えをみせており、建設コンサルの活躍領域が更に広がると見る向きも多い。躍動前夜の関連株のいまを追った。 ●国土強靱化20兆円の追い風も 防災庁の創設は、もともと石破茂前政権の肝いり政策だったが、高市早苗政権はこれを引き継ぐ形で、内閣直属の組織となる。もっとも、予算に加え人事などの権限が限られている点から、どこまで防災の司令塔としての役割を担えるか、疑問視する声も多かった。ただ、今年後半に入っても、7月の熊本地震、8月には千葉豪雨、シルバーウィークを直撃した台風25号など大規模な自然災害が相次ぎ発生し甚大な被害が出ており、防災行政の強化に大きな期待が寄せられている。 内閣官房は8月末、防災庁の初の概算要求となる来年度の予算651億8400万円を計上。大規模災害に対する事前防災の推進、早期の復旧・より良い復興の実現、デジタル防災技術の徹底活用、産官学民連携体制の構築など11項目を概算要求の主要事項に掲げた。産官学民の連携体制構築では、地方公共団体と連携した地域防災力強化の取り組み推進や、官民連携による被災者支援体制の整備などを挙げている。建設コンサルは、これまでも国や自治体などとタッグを組むことで、防・減災をはじめさまざまな社会基盤の構築を進めてきた経緯があり、防災庁発足で更なる連携の強化が予想されている。昨年6月には「第1次国土強靱化実施中期計画」が策定された。事業規模は2026年度から30年度までの5年間で20兆円強をメドとしており、建設コンサルなど 国土強靱化を推進する銘柄にとっては強い追い風となる。 ●下期偏重の業界特性 気候変動の影響は、大型台風や豪雨による河川の氾濫、土砂災害など災害リスクを増大させている。また、首都直下地震、南海トラフ地震といった巨大地震の発生が予想されるなか、平時からの備えの重要性が改めて認識されており、防・減災で大きな役割を担う。 建設コンサル関連株は、AI・半導体関連株と比較すれば決して派手な存在とはいえない。その代わり国土強靱化という錦の御旗を掲げるだけに、AIバブル崩壊懸念といったネガティブストーリーはそこにはない。巨大な国土強靱化予算を背景に追い風が吹く建設コンサルだが、業界特性として業績が下期に偏りやすいという大きな特徴がある。行政や官公庁と連携する業務が多いことから、年度末に向けて予算消化ニーズが高まる可能性があり、この点を踏まえ業績を見通すことが重要になる。下期から来年度にかけて関連株の株価動向には注視が必要だ。 ●建設技研、年初来高値が射程入り 建設技術研究所 <9621> [東証P]は河川や道路に強みを持っており、国内建設コンサル事業は国土交通省からの受注が好調だ。実績豊富ななかで、26年度の国の公共事業関係費予算は防・減災、国土強靱化のための予算を含め前年を上回っており、事業環境も極めて良好。同社では、受注競争が激化しているとしたうえで、補正予算に基づく国土強靱化実施中期計画関連の発注は始まったが、今年度の予算成立がやや遅れたこともあり、今後の案件発注の可能性もあるとみている。8月発表の26年12月期第2四半期累計(1~6月)の連結営業利益は前年同期比10.7%増の66億1700万円となり、通期計画105億円に対する進捗率は63%となった。株価も好調だ。6月につけた年初来安値2563円を底に切り返し上昇一途。現在3300円近辺で推移し、2月19日につけた年初来高値3575円を射程に捉えている。 ●いであ、「両翼」の浮揚力に期待 建設コンサルと環境コンサルが2本柱のいであ <9768> [東証S]だが、南鳥島周辺海域での レアアース泥の採掘が話題になるなか、関連株の一角としても人気化素地を開花させた。同社は、海洋調査事業の拡大を中期的な重要戦略に掲げているが、大深度の海底調査を行う自社開発のホバリング型AUV(自律航行型水中ロボット)を活用し、レアアース泥などの海洋資源開発に係る環境調査を手掛ける。もちろん、防・減災においても官公庁と連携し、さまざまな施策に取り組んでおり、国土強靱化関連株としての存在感を増している。26年12月期第2四半期累計(1~6月)の連結営業利益は前年同期比8.5%増の22億1700万円に伸び、通期計画34億円に対する進捗率は65%に達した。株価は6月2日には2990円まで売り込まれ年初来安値を更新。ここを起点に反転し現在は3800円を挟みもみ合うが、国土強靱化とレアアースという両翼で、再び株価に浮揚力を与えられるか期待が膨らむ。 ●NJS、再評価機運余地は十分 NJS <2325> [東証P]はインフラ老朽化が顕在化する状況で、上下水道コンサルとして水インフラの再構築と管理の高度化・効率化で実績を積み上げてきた。「水の官民連携」が進められるなか、インフラ再構築に向けた調査・設計業務、災害対策業務、インフラ点検・調査を効率化するインスペクション事業などに取り組む。今年6月には、スイス企業の高性能インフラ点検調査ドローン「ASIO X」の日本国内における独占販売契約を締結。ASIO Xによる点検調査、データ解析などを提供するほか、同機の販売なども行う。海外展開にも注力しており、8月には「インド・ベンガルール上水道拡張事業準備調査」を受注したことを明らかにしている。26年12月期第2四半期累計(1~6月)の決算を同月に発表。連結営業利益は前年同期比27.0%増の49億6600万円となり、通期計画36億円を大幅に上回っており最高益更新を目指す。好業績とは裏腹に株価は上値の重い展開が続くが、インフラ老朽化が喫緊の課題となるなか、いずれ再評価機運が高まる可能性は十分ありそうだ。 ●人・夢・技術、進捗率は90% 道路や橋梁主力の人・夢・技術グループ <9248> [東証S]も注視しておきたい。26年9月期第3四半期累計(25年10月~26年6月)の連結営業利益は前年同期比2.9倍の20億7500万円に急拡大し、通期計画23億円に対する進捗率は90%に達した。株価は、9月1日に1799円まで買われ年初来高値を更新。その後は上昇一服も1700円付近で頑強展開をみせている。4月には、グループの基礎地盤コンサルタンツがエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が公募した「洋上風力海底地盤調査(秋田沖)」において業務委託先として採択されたと発表。無人水上艇を活用した無人探査技術により、安全性と効率性を両立した高精度な物理探査を実施する。カーボンニュートラルの切り札として洋上風力発電の整備が全国各地で急ピッチに進展するなか、今後の業容拡大への期待が高まりそうだ。 ●オリコンHD、新たな取り組みに注目 オリエンタルコンサルタンツホールディングス <2498> [東証S]は8月21日に26年9月期の連結業績予想を上方修正した。売上高を970億円から1000億円(前期比4.9%増)へ、営業利益を58億円から60億円(同6.7%増)へ引き上げた。好調な事業環境を背景に最高益更新を計画する。9月18日には、グループ企業のオリエンタルコンサルタンツグローバルが、バンカーズ・ホールディング(東京都中央区)と国内外における社会課題解決型事業の開発及び資金調達に関する事業連携覚書(MOU)を締結したと発表。これにより、建設コンサルとして技術サービスの提供だけでなく、自ら事業を組成・投資し、社会課題の解決と収益化の双方を目指す。今後は現地ネットワークに、バンカーズ・グループのクラウドファンディングなど金融機能を組み合わせることで、海外民間投資事業を加速させる。日本企業の海外民間投資事業への展開も支援する構えで、建設コンサルの枠を超えた、新たな取り組みに期待感が高まっている。 ●活躍領域拡大でウエスコHD 西日本地盤のウエスコホールディングス <6091> [東証S]は活躍領域の拡大で攻勢をかける構えだ。4月に傘下のウエスコが、JAXA公募の宇宙戦略基金(第二期)の技術開発テーマ「衛星データ利用システム実装加速化事業」で、共同申請した「マルチモーダルAIによる違法・不正盛土検知と土砂崩落リスク評価」が採択されたと発表。同事業では、複数の衛星データとAI技術を組み合わせ、広域にわたる盛土の自動検知と、検知された盛土の土砂崩落リスクを定量的に評価するシステムの開発を目指す。技術開発完了後は、自治体向けの盛土調査支援サービスを皮切りに、インフラ管理事業者や保険・金融分野への展開を視野に入れている。更に、アジア諸国への展開もにらみ事業化を推進するという。今月11日には、27年7月期からの3カ年を対象とする中期経営計画を策定。最終年度である29年7月期の連結業績目標として、営業利益を13億円(26年7月期実績は10億2900万円)に設定した。株価は、きょう993円まで買われ年初来高値を更新している。 ●川崎地質、E・JHD、ERIHDなどにも妙味 川崎地質 <4673> [東証S]は地質調査大手だが、地盤分野の建設コンサルとして存在感を高めている。特に地質リスクマネジメント技術を生かし、国土強靱化推進業務をはじめインフラメンテナンス業務、自然災害のリスク予測に加え防衛力増強などに係る地質調査業務なども手掛ける。7月に発表した26年11月期第2四半期累計(25年12月~26年5月)の連結営業利益は、前年同期比3.9倍の11億2100万円となり、通期計画の同利益10億円をすでに上回った。同社では、官公庁・公共企業体との取引率が高く、納期の関係により売上高・利益ともに第2四半期連結会計期間と第4四半期連結会計期間に集中するという季節変動の傾向があると説明する。株価は、5000円手前で上値の重い展開が続くが、じわり煮詰まり感も漂う。 今月1日、子会社が筑波大学発スタートアップで水中ドローンを開発するFullDepth(フルデプス、東京都中央区)と資本・業務提携したと発表したE・Jホールディングス <2153> [東証P]も見逃せない。インフラ維持管理分野に最適化した国産AUVの共同開発と社会実装を目指す。今期も営業利益段階で連続の最高益更新を計画しており、成長ロードをまい進する。このほかでは、4月に名古屋市を拠点に建設コンサルや補償コンサルなどを行う太栄コンサルタンツ(名古屋市中区)の株式を取得し子会社化すると発表した、建築確認検査業務大手のERIホールディングス <6083> [東証S]にも妙味がありそう。7月には、環境経営コンサル会社も子会社化しており活躍領域の拡大に余念がない。また、株価がじり高歩調を続けるオオバ <9765> [東証P]などにも目を配っておきたい。 株探ニュース