高市政権の主要政策、国消国産で「食料安全保障」関連株の出番到来 <株探トップ特集>

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コラム

―食料自給率は過去最低水準、中東情勢や円安による価格上昇に懸念―

 農林水産省は7日、2025年度のカロリーベース(数量や金額ではなく、食べ物のカロリーをもとにした指標)での食料自給率が前年度比1ポイント低下の37%になったと発表。比較可能な1965年度以降では過去最低に並ぶ水準で、主食であるコメの消費量が価格高騰で減ったことが影響した。気候変動による不作リスクや中東情勢の緊迫化、円安による食料輸入価格の上昇などを背景に、高市早苗政権は「食料安全保障の強化」を主要政策のひとつに掲げており、未来の食卓を守る関連銘柄に注目したい。

●世界食料価格指数は3年半ぶり高水準

 国連食糧農業機関(FAO)が7日発表した7月の世界食料価格指数(14~16年=100)は、前月比0.6%上昇の131.1と23年1月以来の高水準を記録した。小麦の主要産地であるロシアとウクライナが黒海で攻撃の応酬を続け、供給混乱の懸念が強まったことから穀物価格が同3.4%上昇したことが全体指数を押し上げた。また、米国とイランの戦闘激化に伴う原油高とバイオディーゼル向けの旺盛な需要により、パーム油と大豆油のニーズが拡大したことから植物油価格も同2.0%上昇している。

 政府が7月21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026」では、強い経済の実現に向けた戦略的投資・分野横断的な取り組みのひとつとして「農林水産業の構造転換による成長産業化、食料安全保障の強化」が盛り込まれている。具体的には、世界トップレベルの技術を誇る植物工場や陸上養殖といったフードテックへの投資及び国内外市場への展開、スマート技術や新品種の開発・実装、輸出産地の育成などを促進する構え。政府一体となった海外の商流開拓体制の強化などにより、コメやノングルテン米粉、和牛肉を含めた国産農林水産物・食品の国内外での需要創出・拡大に努めるとしている。

 食料の多くを輸入に頼っている日本にとって、生産性向上と持続性を両立させる食料システムの構築は大きな課題だ。大規模自然災害や地球温暖化、生産者の減少など生産基盤の脆弱化、健康志向・アレルギー対応など多様な食需要を見据えた取り組みを推進していく必要があり、ビジネス機会が広がっている。

●食料生産のカギ握る種苗・肥料・農薬

 カネコ種苗 <1376> [東証S]は農産種苗を生産・販売しているほか、農業用生産資材や農業薬品なども手掛けている。27年5月期は野菜種子や緑肥作物種子などの販売増を見込んでおり、通期の連結営業利益は前期比14.3%増の20億円となる見通しだ。

 サカタのタネ <1377> [東証P]は170カ国以上でタネを販売しており、強みは長い歴史のなかで培ってきた豊富な遺伝資源。27年5月期通期の連結営業利益予想は前期比2.9%増の135億円で、海外を中心に安定して推移するとみている。

 OATアグリオ <4979> [東証S]は農薬・肥料メーカーで、「防除技術(植物の薬)」「施肥灌水(かんすい)技術(植物の栄養)」「バイオスティミュラント(植物の免疫力向上)」に注力。26年12月期第2四半期累計の連結決算は、各分野が好調だったことから営業利益は前年同期比28.8%増の35億2600万円で着地した。

 クミアイ化学工業 <4996> [東証P]は殺虫剤・殺菌剤・除草剤などの農薬を製造・販売。農産物の安定供給につながる新農薬の創製研究や市場ニーズに即した独創的で高付加価値の製品開発に取り組んでいる。6月に公表した26年10月期第2四半期累計の連結決算は、除草剤「アクシーブ」のジェネリック品の米国市場参入前の販売促進により出荷が前倒しになったことなどから、営業利益は前年同期比10.8%増の104億6400万円と従来予想の61億円から上振れて着地。9月に予定される第3四半期決算が注目される。

●生産性向上に欠かせないスマート農業

 オプティム <3694> [東証P]は人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)、ロボティクスといった先端技術を用い、さまざまな産業領域で事業を展開。 スマート農業サービスでは、ドローン農薬散布AXサービスやドローン遮光・遮熱剤散布AXサービスなどを手掛けている。27年3月期第1四半期の連結決算は、アグリテック事業が売り上げを大きく伸ばしたことなどから営業利益は前年同期比38.4%増の3億7400万円となった。

 やまびこ <6250> [東証P]は小型屋外作業機械(OPE)、農業用管理機械、一般産業用機械を展開。省人・省力化につながる製品の研究開発を進めており、遠隔操作が可能なラジコン草刈機などを提供している。足もとではOPEの販売などが好調で、8月7日には26年12月期通期の連結営業利益予想を前期比16.6%増の230億円(従来予想は210億円)に上方修正した。

 井関農機 <6310> [東証P]は農業機械専業大手。田植え機・トラクター・コンバインを中心に国内中小規模農家向けの実用機を強みとしており、ロボットトラクターや自動抑草ロボット「アイガモロボ」、スマート追肥システムなども展開している。26年12月期第2四半期累計の連結決算は、海外での売り上げが好調だったことから営業利益が前年同期比28.0%増の55億7500万円となり、通期計画の60億円に対する進捗率は92.9%となった。

 クボタ <6326> [東証P]は農機・建機・水インフラを3本柱とするグローバルメーカー。直近では遠隔監視対応の無人自動運転トラクター「新型アグリロボトラクタ MRシリーズ」を来年4月に発売することを明らかにしている。8月4日には為替の円安効果や米国関税還付の寄与などにより、26年12月期通期の連結営業利益予想を前期比50.7%増の4000億円(従来予想は3000億円)に引き上げた。

●大気社、IIJなどにも注目

 このほかでは、インターネットイニシアティブ <3774> [東証P]も見逃せない。このほどグループ会社のセンシフィアは、農水省が所管する「スマート農業技術活用促進法」に基づく開発供給実施計画の認定を取得したと発表。計画の名称は「新方式の土壌水分センサー等を用いて灌水判断を最適化・自動化するシステム」で、土壌中の空隙やEC(電気伝導度)の影響を受けずに長期間安定した土壌水分測定が可能な新方式センサー(SFDT)と、測定結果をスマートフォンなどで可視化し灌水制御装置に信号を送る灌水ナビゲーション技術を開発・供給する。

 これ以外では、完全人工光型植物工場システムを扱う大氣社 <1979> [東証P]、グループ会社が植物工場をフランチャイズ展開しているレスター <3156> [東証P]、フード領域に特化したCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を運営するオイシックス <3182> [東証P]、小売業向けに需要予測型の自動発注システムを提供するシノプス <4428> [東証G]、フードロスを減らすショッピングサイトを運営するクラダシ <5884> [東証G]なども関連銘柄として挙げられる。

株探ニュース

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