ドル円、142円台前半まで急落 シカゴ日経平均先物の急落で買い戻しも入らず=NY為替概況

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ドル円、142円台前半まで急落 シカゴ日経平均先物の急落で買い戻しも入らず=NY為替概況

 きょうのNY為替市場でドル円は急落。東京時間には146円台まで回復していたドル円だが、本日は2つの出来事がドル円を142円台に急落させた。1つは自民党総裁選で石破氏が新総裁に決まったことで円高が一気に強まった。

 事実上、次期首相を決める自民党総裁選は高市氏と石破氏がそれぞれ1位、2位で最終投票に進んだ。市場は日銀の早急な利上げに否定的な姿勢を示していた高市氏が優勢と考えていたが、日銀の独立性を尊重する石破氏が想定以上に党内の議員票を獲得し勝利したことで、市場も驚きとなったようだ。

 高市氏は積極財政派、石破氏は緊縮財政派とも目されているが、高市氏の勝利を期待していた日本の株式市場も梯子を外された格好となり、日経平均先物は夜間取引で一時2000円超急落している。円相場はリスク回避の円買いを想定した動きも出ているようだ。

 2つ目はFRBが主に参照しているインフレ指標である8月のPCEデフレータ。コア指数の前月比が0.1%と予想を下回る内容となった。引き続きインフレの落ち着きを示す内容であったことから、為替市場はドル売りで反応。FRBの利下げ期待を裏付ける内容ではあるが、年内さらにもう1回の大幅利下げなど、市場が織り込んでいる期待ほどの内容であるかは議論が分かれるところ。短期金融市場では11月FOMCでの利下げ幅は0.25%と0.50%ポイントで五分五分といった状況。

 ドル円は9月中旬に140円を瞬間的に割り込んで以降、リバウンド相場の流れが続き21日線も回復。節目の水準も突破していた。しかし、きょうの下げはリバウンド相場のムードに完全に冷や水を浴びせたようで、本日143.30円付近に来ている21日線を再び下放れしている。

 本日のNY時間については特に、シカゴ日経平均先物が大証終値比で2000円超の急落となる中、ドル円に買い戻しが入らず、142円台前半で底値を這う展開が見られている。週明けの展開に不安が高まっていたようだ。

 ユーロドルは一時1.12ドル台を回復する場面が見られたものの、その水準は強い上値抵抗となっているようで、直ぐに1.11ドル台に押し戻されている。ポンドに比べれば上値の重い印象のユーロだが、ECBの利下げ期待が蓋を被せているようだ。

 本日はフランスとスペインの9月調査の消費者物価指数(HICP)速報値が発表になっていたが、両国とも前月比で予想外のマイナスとなっていた。これを受けてECBが利下げペースを速めるとの観測が高まった。短期金融市場では10月のECB理事会での利下げの確率を80%まで高めている。

 また、ドイツの雇用統計も発表になっていたが、9月の失業率は予想以上の上昇となり、景気低迷が労働市場にますます影響を及ぼしていることを示した。

 ポンドドルはNY時間に入って一旦1.34ドル台に上昇したものの、本日も1.33ドル台に伸び悩む展開。1.34ドル台に入ると上値を抑えられる日々がここ数日続いている。

 ポンドに関しては、英中銀とともに10月に発表されるリーブス財務相の秋の予算案に注目が集まっている。同財務相の財政戦略については多くの不確実性があると見られているようだが、英国の財政状況は深刻なことから、前政権同様に財政再建策が盛り込まれると見られている。

 しかし一方、投資を増やしたいという意向もあるようで、3月の予算案と比べても緩和的な政策は維持し、赤字削減のペースは遅くなるとの見方も出ている。少なくとも緊縮財政を志向する可能性は低いと思われるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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